シャプラニールは2017年9月1日に
創立45周年を迎えました。
シャプラニールにかかわるすべての皆さまへ
深く感謝するとともに、
進化するNGOとして、これから目指すべき
方向性や守るべきシャプラニールの
価値観についてお伝えします。
INDEX.
01. 失敗から学び進化するシャプラニール
02. 積み重ねた経験から生まれた価値観
03. 新たなタグラインとブランド・ステートメント
04. 広がりつづけるシャプラニールの輪
05. 貧困のない社会の実現に向けて「先駆者としての責任」
06. 45周年記念募金ご協力のお願い
07. 会報誌45周年特集号のご案内
01.
失敗から学び進化するシャプラニール
私たちは1972年よりバングラデシュで活動を開始し、幾度も失敗を重ねながら、日本の国際協力NGOのパイオニアとして自分たちの活動を作り上げてきました。私たちは今なお「現地の人にとって本当に役に立つ支援とは何か」を問い続けています。
>シャプラニールの歴史を見る
02.
積み重ねた経験から生まれた価値観
私たちは「貧困のない社会を目指す」ために、1.子どもの権利を守る(初等教育の普及、児童労働への取り組み)、2.災害に強い地域づくり(防災)、3.フェアトレードの3つの柱を中心とした取り組みを進めていますが、長い経験の中から培われた「5つの価値観」を常に意識しながら活動しています。こうした気づきを広く伝えていくことも、私たちの役割のひとつだと考えています。
【1】「援助」をしない
貧困や差別・抑圧の問題は、世界や社会のあり方にその根をもっており、それを分析するには幻想や思い込みを排除した事実に立脚する必要がある。活動を行うにあたっては、常に問題の構造や原因に対し、その解決につながる方法を当事者がみずから考える支援のあり方を重視する。単純に財やサービスを供給するだけにせず、問題の根本的な解決を目指すという意味。
【2】自らの解決を促す
海外活動の現場においては、問題を抱えた当事者およびそれを取り巻く周辺の人々が主体となること。すなわち、彼/彼女らあるいは現地パートナー等の組織が自ら問題を解決すべく活動することを重視する。また、シャプラニールはこうしたプロセスを、外部者かつ媒介者として支援する。当事者主体、当事者のエンパワメント、の考え方。
【3】みんなで考える
社会課題を解決するために、対象とする課題の構造や原因に深く関わっている多様な当事者の存在を認識し、そうした個人や組織への働きかけを強化する。地域や社会全体が変わらなければ根本的な課題解決はできない。周辺への働きかけを常に意識する。
【4】現場から学ぶ
社会の変革を目指すためには、政府や市民に向けたアドボカシーが必要である一方、そこで伝えるメッセージが現場のリアリティとかい離してはいけない。我々は常に現場を持ち、そこで得られる現実的な視点をもって社会全体へ発信していく。
【5】誰も取り残さない
経済的な貧困、社会的な差別、地理的な格差等何らかの制約により、地域・社会の中で周辺化されてしまう人々、あるいは国や行政が持つ社会保障制度や、NGO等による支援策等にアクセス・活用できない人々が必ず存在する。我々が活動する際には、こうした人々の存在を常に意識し、優先して取り組む。また、社会的に認識されず顧みられていない課題等への視点も忘れない。
03.
新たなタグラインとブランド・ステートメント
シャプラニールはこの45周年を機に、タグラインとブランド・ステートメントをリニューアルします。議論の結果、私たちが大切にしている価値観にもある「誰も取り残さない」をタグラインとして採用しました。
私たちは2007年の中期方針から、社会的に光の当たりにくい場所にいる人々を「取り残された人々」という言葉でその存在を明文化し、南アジアでそうした状態にある人々や課題へ近づくための一層の努力を掲げてきました。
>2008年度年次報告書 p.4-5「中期方針(2007~2011)の進捗状況」(PDF)
しかし、私たちを取り囲む環境は変化し、貧困問題はもはや途上国だけのものではなくなっています。
支援活動に携わる者もそうでない者も、関心を持ち、想像力を働かせ、地球市民として一人ひとりが課題を自分ごととして捉えていこう、そのような想いを込めています。
04.
広がりつづけるシャプラニールの輪
シャプラニールは、多くの人の思いや絆によって形作られている組織です。時代や世代を超えて、全国に多くの支援の輪が広がっています。このネットワークこそがシャプラニール最大の原動力と言っても過言ではありません。
あらためて皆さまからのご支援と温かいお気持ちに、心から感謝申し上げます。
<会員の皆さま>
シャプラニールにとって会員は、財政的な支援者というだけでなく、活動内容や組織のあり方等について意見をくれたり、意思決定にもかかわる組織の一員です。
>会員について詳細はこちら
<マンスリーサポーターの皆さま>
45年にわたる活動は、継続的なご支援によって支えられてきました。
>マンスリーサポーターの詳細はこちら
<寄付者、ステナイ協力者の皆さま>
シャプラニールは多くの個人、企業・団体に賛同いただき、ご寄付をいただいています。
どなたでも参加できる海外協力「ステナイ生活」の寄付者は年々増加しています。
>ステナイ生活の詳細はこちら
>企業・団体とのパートナーシップ事例はこちら
>ご寄付の詳細はこちら
<クラフトリンクのお客さま、販売店さま>
シャプラニールのフェアトレードブランド「クラフトリンク」は、作り手と買い手、多くの人々がつながっています。
>クラフトリンクの詳細はこちら
<ボランティアの皆さま>
シャプラニールの活動は、日々たくさんのボランティアの力に支えられています。
・ステナイ生活ボランティア(ステナイ生活にかかわるボランティア)
>ステナイ生活ボランティアの詳細はこちら
・くしくし倶楽部(社会人ボランティアグループ)
>くしくし倶楽部の詳細はこちら
・ユース・チーム(大学生・若手社会人を中心としたボランティアグループ)
>ユース・チームの詳細はこちら
・地域連絡会(全国21カ所にある会員によるボランティアグループ)
>地域連絡会一覧はこちら
<パートナー団体>
シャプラニールは、パートナーシップ方式のプロジェクト運営を進めています。シャプラニールの「パートナーシップ」とは、単なるプロジェクト管理体制のことではなく、信頼し理解し合うなかで、住民の課題を共有しその解決策を共に導き出すプロセスです。シャプラニールの特徴といえる「解答を持ち込まない」支援、現地で本当に必要とされる支援は、パートナー団体の存在なくしては実現しません。
>海外プロジェクト パートナー団体一覧はこちら
>クラフトリンク生産パートナー団体一覧はこちら
<OB・OG他、シャプラニールを愛する皆さま>
シャプラニールを卒業し、各方面で活躍しているOB・OGの皆さまには、今もなお温かい励ましの言葉や助言をいただいています。
OB・OGをはじめとするシャプラニールに縁の深い方に執筆いただいたリレーエッセイ「私の好きなバングラデシュ」「ネパールという国」もぜひご覧ください。
>私の好きなバングラデシュ
>ネパールという国
05.
貧困のない社会の実現に向けて「先駆者としての責任」
シャプラニール事務局長 小松豊明
最近は比較的活動年数の少ない「若い」団体の、新しい活動領域や斬新なアプローチが注目されていることもあり、さまざまな場面でシャプラニールの出番が少なくなっていると言えるでしょう。しかし一方で、日本におけるNGOの黎明期から先駆的な役割を果たしてきた団体として、NGO全体を引っ張っていく、あるいはその経験をきちんと伝えていくといった役割が求められてもいます。そういう意味で、JANICをはじめさまざまなネットワークの中で存在感を示し、発言をしていくことが必要と考えています。
また、NGO単体で課題を解決することは難しいという視点から、国際協力団体に限らず企業をはじめ他分野の組織との連携、協働にも力を入れていかなければなりません。「海外と日本国内の課題をつなぐ」という視点はこれまでも常に持ち続けてきましたが、もう一歩踏み込んだ協働や学び合いの機会を持つことができればと考えています。例えば、子どもの貧困への取り組み、あるいは自然災害による被害の軽減など、海外と日本に共通の課題に取り組む仲間として、NGOに限らない国境を越えた協働の事例を増やし、これからの市民社会組織の可能性を広げることにつなげたいと考えています。
今後とも引き続きご支援を賜りたく、よろしくお願いいたします。
06.
45周年記念募金ご協力のお願い
1972年のバングラデシュ独立直後から活動を開始した私たちは、皆さまの支えによって今年45周年の節目を迎えることができました。
私たちはこれからも、人々が直面する困難や社会の課題を共に解決するための活動を続けていきます。ぜひ45周年記念募金へのご協力をお願いいたします。
07.
会報誌45周年特集号のご案内
年4回発行しているシャプラニールの会報「南の風」2017年9月号では、創立45周年のシャプラニールを特集しています。特設ページに掲載しきれなかった小松豊明事務局長の言葉や、シャプラニール評議員の大橋正明氏によるシャプラニールの現状の課題など、読みごたえのある内容となっています。
会員・マンスリーサポーター以外の方でも一部200円(+振込手数料)でご購入いただけます。
>会報のご購入はこちら
「NGOを取り巻く環境とこれからのシャプラニール」シャプラニール事務局長 小松豊明
「シャプラニールが再び輝いて見える日」シャプラニール評議員 大橋正明
この人に聞きたい第10回「手作りの海外協力、人情味ある支援」社会学者 小熊英二さん他
南の風277号(季刊)2017年9月1日発行
全28ページ 価格:200円(+振込手数料)
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