一日ずっと事務所で仕事のときの楽しみと言えば、ランチ。日本だろうと駐在していたネパールだろうとこれは変わらない。
シャプラニールのカトマンズ事務所では、スタッフのランチはサービススタッフのスニータが用意する。費用は食べた回数で割って各自が出す。出張スケジュールを決める時にどこで何を食べるかを真剣に悩む(そうでないと、電気、冷蔵庫、保存技術、コンビニが普通にあるわけではないネパールで、食事にありつけないことがあると徐々にわかったけれど)スタッフの要望で、週始めのスタッフミーティングで「今週のランチメニュー」を発表するのも彼女の大切な仕事。
ネパールの典型的な定食「ダルバート」が続くと、血圧を気にするスタッフが「ロティ」に変えてくれだの、「最近パスタ食べてないよ」だののコメントが飛ぶ。ちなみに、料理上手なスタッフの直伝フレッシュトマトソースは絶品。たたし、アルデンテは期待してはいけない。基本、ソフト麺。
さて、約2年の駐在をしていた時の私は、メニューに口を挟んだことがない。「ニンジンは嫌い」、「マショウラ(大豆で作った乾物、大豆ミートに似ている)が好き」と言っていたぐらいだろうか。たぶん、初めての海外生活、駐在員の仕事でいっぱいいっぱいでそんな余裕さえなかったのだろう。
しかし、2015年4月の大地震の後の復興支援事業を進めるために約3カ月だけ助っ人出張した時は違った。3カ月だけだと思うと、これを食べておきたいという気持ちは明確で、恥じらいもなくお願いしていた。「パスタ」、「筍とトマトとマショウラのスープ」、そして「モモ」。
桃ではない。発音は桃と逆で、最初の「モ」が強い。まっ、蒸し餃子、小籠包である。巷では、鶏肉、バフ(水牛の肉)、野菜などの種類があり、ピーナツソースとか、辛いソース、ちょっとすっぱめなどいろいろな味のソースをつけて楽しむ。
わがシャプラニールのモモは、バフに唐辛子ソースである。スニータはあまり味見をしないので(そしてスタッフに怒られるのだが)、その時によって辛さは変わるが、基本、激辛。一度なんて、みんな食べている途中から、鼻水と涙が出てきて「何本唐辛子入れたのよ」と本気で怒っていた。こんな時でもスニータはへこたれない。ニコニコ笑って「〇本かな」と答える。強者である。
さて、本題。助っ人出張の最終日、私の希望でランチは「モモ」。せっかくなので、前日夕方と当日朝の買い出しに同行し、一緒に作ってレシピを教わった。
【材料】7人分(社食用なので)
‐モモの皮
・小麦粉 1Kg
・水 様子を見て入れていく
‐モモの中身
・バフ 500g(ミンチされたもの。鶏肉などで代用可)
・パクチー 2束(写真参照)
・ニンニクの葉(写真参照、ニラで代用可)
・唐辛子パウダー 少々
・ターメリック 少々
・クミンパウダー 少々
・塩 少々
・味の素 少々
・玉ねぎ 11個(小さめ)
‐ソース
・トマト 5個(小さめ、日本のトマトの3分の1ぐらいの大きさ)
・唐辛子 10本
・塩 小さじ2~3杯
・クミンパウダー 小さじ1~1.5杯
・にんにく 1片
・しょうが 1片
・八角 少々
【作り方】
まずは、ソースを作ろう。
1. トマトをフライパンで薄皮が黒くなるまで焼いておく
2. 唐辛子を少しの油で焼いておく
3. にんにく、しょうがをする
4. 3.に唐辛子を加えてする
5. 4に塩、クミンパウダーを加えてさらにする
6. トマトを少しずつ加えてする ⇒完成
次に、中身を作ろう。
1. パクチー、にんにくの葉の根の部分(かたい部分)を取り外して、細かく刻む
2. 玉ねぎはみじん切りにするか、する
3. 具をすべて混ぜる、よく混ぜる
そして、皮を作ろう。
1. 大きなボウルに小麦粉を入れる
2. 水を少しずつ入れて、だまにならないよう混ぜる
3. 耳たぶよりちょっと固いぐらいまで水を入れて、まとめる
モモの成形
1. 打ち粉として、小麦粉をふる(大きなまな板の上かテーブルの上にラップを引いてその上で。現地ではテーブルの上で直接だったが)
2. モモの皮のまとまりから、こぶし1つ分ぐらいを取り、1.の上で麺棒を使って伸ばす。暑さは2-3mm程度。
3. 2.を丸く切り抜く。スニータは「コーヒーの粉の便の蓋(プラスチック)がちょうどいい」とのこと。
4. 3.に中身小さじ1.5杯ぐらいをのせて包む。餃子のようでも、丸くなる
よう縁を中心にまとめるように包んでもOK。皮が乾燥していなければ、包む際に水は不要。
5. 蒸し器で蒸して出来上がり!
真っ赤なソースをつけて、召し上がれ!
<プロフィール> 勝井裕美(かつい・ひろみ)
シャプラニール海外活動グループ ネパール担当
2010年10月~2012年12月 シャプラニールカトマンズ事務所駐在
この記事の情報は2016年10月8日時点の情報です。