リレーエッセイ「ネパールという国」

「ええ、どうしてそんなところに行ったの?!」
私がネパールに行ったことがあると言うと、皆同じような反応をします。そんなところか…。でも私もネパールに行ったことがなければ、同じようなことを言っていたかもしれません。

私は2014年の3月にシャプラニールのネパールスタディーツアーに参加しました。恐らくたいていの人がネパールは貧しい国とマイナスのイメージを抱いていて、以前の私もそうでした。しかし、ネパールから帰国した時、ネパールに対する考え方は全く違うものとなっていました。行ってみるとネパールは魅力でいっぱいの国だったからです。貧しい国で、決して豊かでないことは確かです。ですが「貧しい」が持つマイナスのイメージを、ネパールが覆させてくれました。私が感じたネパールの魅力の一番は「ネパールの人々」でした。

ネパール人は愛嬌満点です。すれ違う時に目が合えば、みんなにっこり微笑んでくれたり、見知らぬ子どもたちにカメラを向ければポーズをとってくれます。

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村で出会った少女と

ある農家の家族を訪れた時、一人の小学生の女の子と出会いました。その女の子は私のことを自分の親戚に似ていると言って、とてもなついてきてくれました。彼女は日本のことも知っていて、私の名前がシヅカだと知ると「ドラえもん!」と言って笑っていました。海外に行くとたまにこうなるのですが、彼女に言われた時が一番ほっこりしました。ネパールの小さな村にいる少女が日本のことを知っている、ということが嬉しかったのです。彼女は勉強が大好きだと言っていました。日本の小学生はきっとこんなことは言わないだろうし、私も勉強が好きだなんて思ったこともありません。震災後も変わらず学校に通えているだろうか。もう一度彼女に会いたいです。

 

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カメラを覗き込む子どもたち

カトマンズではドミトリーに宿泊しました。ドミトリーの崖の下には古い家々があり、貧しい人々が暮らしていました。みんなでそこまで行くことにしました。とても立派とは言えない場所でしたが、子どもたちは笑顔で楽しそうに遊んでいました。カメラで一緒に撮った写真を見せると、みんなが群がって興味津々に寄り添ってきました。

そしてツアーでは、私が最も心打たれた一人の女性との出会いがありました。その女性はWomen’s Skills Development Organization Pokhara(WSDO)の創業者で代表を務めるラム・カリ・カドカさんです。

WSDOにてラムカリさんと一緒に。

WSDOにてラムカリさんと一緒に

WSDOは女性たちが自立するための技術トレーニングを行う手工芸品団体で、女性たちがフェアトレードによる公正な賃金を稼ぐことにより、自信を手に入れたり、家庭での地位向上につながったりしていると話してくれました。
「助けを求める人々、辛い思いをしている女性たちに手を差し伸べたかった。」ラムカリさんは私たちにこうおっしゃりました。ネパールは物質的には貧しいかもしれないけれど、こんなに心豊かで他者を思う心が長けている人もいるのだと、感銘を受けました。

こうして私は、ネパールの人々の温かさ、優しさ、愛らしさを実感し、すっかりネパールが好きになっていました。ネパール語は日本語と同じ文法であることも、親近感を抱いた理由の一つだったりします。

震災がきっかけでネパールを知った人は多いと思います。ですが、ネパールに対してマイナスなイメージを持ってほしくはありません。貧しいというだけでマイナスに捉えないでほしい。物質的な貧しさがあり、解決していかなければいけない問題があることは事実です。ですが彼らは、私たちが持っていないものを持っています。それにも関わらず、物質的に満たされている私たちは、物質的な貧しさだけでマイナスなイメージを抱く傲慢さを持っていることに気づかされました。ネパールの魅力を多くの人々に知ってもらいたいです。

「ネパールに行ったことがあるよ。」「いいな!行ってみたい!」そのような人が増えてほしいです。

<プロフィール>近藤 志津果(こんどう3 しづか)
上智大学総合人間科学部看護学科2年生。神奈川県出身。

<シャプラニールとの関わり>
2013年3月に実施した中学生・高校生スタディツアーに参加(当時高校2年生)

この記事の情報は2016年11月10日時点です。