バングラデシュ洪水緊急支援

シャプラニールは、2015年12月から3つ(2016年度からは4つ)の地域において、コミュニティラジオと協働しながら、家事使用人として働く少女を都市に送り出さないようにするためのメッセージを発信しています。この6月からは週に一度、10分程度の物語に仕上げた番組を放送しています。DVや家事労働者の権利保護に関する法律の他、両親や雇い主をテーマとして取扱い、関心を持ってもらうのが狙いです。

その矢先、7月中旬に4つのコミュニティラジオの一つ「ラジオ・チルマリ」から、ラジオのリスナーが多数居住している地域で洪水の被害が出始めているという連絡がありました。被災後の経済的困窮は、地方の両親が少女たちを都市部へ働きに出す理由のひとつです。今回、コミュニティラジオの活動地でまさにそうした事態が発生し、情報収集を続ける中で被害の拡大が確認されたことから、ラジオ・チルマリの母体である「RDRS」と協力して緊急救援活動を実施することになりました。

政府やRDRSとの諸手続きを済ませ、8月21日~23日に被災地で食料品の配布を行いました。チルマリ郡はもともと干ばつや熱波、洪水、河岸侵食、寒波等の被害を受けやすい土地で、チョールと呼ばれる中洲も多数存在します。実際に現地入りしてみると、洪水と河岸侵食によって家財、農作物、牛や鳥などの家畜、池の魚に至るまで全て流され、住民は屋根に避難したり、他のチョールに移ったりしながら、子どもも含めかろうじて日に1度の食事を取っている状況でした。

私たちは地元行政の協力を得て被災世帯の情報収集と、物資配布を行うべき世帯のリストアップを行い、3日間で合計2,000世帯に救援物資の配布を行いました。予算と数量が限られているため、主な対象としたのは、経済的に貧しい世帯、子どもや妊婦のいる世帯、高齢者や障害者のいる世帯です。行政担当者を巻き込んだ救援活動により、必要とする世帯にスムーズに物資を届けることができました。

アティカ・ビンテ・バキ(アドボカシー・オフィサー、ダッカ事務所)

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