着任早々の仕事は、始まった「中間調整会議」と言われる1週間立て続けに行われる会議への出席でした。この会議は、活動を共にするパートナー団体とシャプラニールにとって大変貴重な会議で、上半期の進捗状況の確認と、下半期の活動に向けたすり合わせを行います。
英語のパワーポイントを使用しベンガル語で説明や議論が行われる会議でした。ベンガル語を勉強中の私は、会話にところどころ混じる英単語とスクリーンに映される英語のスライドの内容を必死で追い、それでもわからないところは後から質問するなどして理解に努めました。
このような調整会議は年度の途中と年度末とで年に2回実施しています。
シャプラニール・ダッカ事務所での会議の様子↑
今回の調整会議中、パートナー団体の一つ”PAPRI(パプリ)”から、2018年4月以降の活動について提案があり、その内容を煮詰めるために後日、再度ミーティングを行いました。
その様子がこちら。
(左から)バセッドさん(PAPRI代表)、アラウッディンさん、ジャキールさん、ナジムさん
PAPRIはパラトリチョール(パラトリが地名、チョールは中州のこと)と呼ばれる孤立した地域でシャプラニールと一緒に初等教育支援を行っている団体です。
この地域には、日本でいう小学校相当(バングラデシュの初等教育は5年間)の学校に入学するのは簡単だが卒業することがとても難しいこと、学校に行きたがらない子どもがいること、中州に向かう船の時間が天候によって時間が不定期になり先生が時間通りに来られない日があることを私は改めて知ることとなりました。
一度提出された提案をより精度の高い内容にするためにもさらなる詳細な分析が必要であるとシャプラニールから説明し、今回はダッカ事務所長の菅原が主導でパラトリチョールの初等教育の状況と課題を洗い出し、分類して整理しました。これは、プロジェクト内容を検討する際によく用いられる手法で「プロブレムツリー」とも呼ばれます。この中からどの課題に対してしてどの段階まで対応するプロジェクトにするかを決め、その後、具体的にどのようなアプローチを取るかを検討していきます。
課題の洗い出し↑
課題と原因を分類する様子↑
各課題を分類した結果↑
例えば・・・
<理由1>
就学率は上がっているのに卒業が難しい
↓(なぜか?)
落第する子どもが多い
↓(なぜか?)
家族を養うために働きに出されることがあるから
<理由2>
就学率は上がっているのに卒業が難しい
↓(なぜか?)
5年生(卒業年度)の最後に実施される卒業試験に受からないから
↓(なぜか?)
そもそもその試験を受けられない子どもがいる
↓(なぜか?)
・試験を受けるためにはDR登録というものが必要だが、その登録にはお金がかかり、払えない家庭がある
・出生届がない子どもはそのDR登録ができない
など、一つ一つの課題の原因を探っていきます。
ここまでに要した時間、2時間。全てベンガル語で行われました。
(付箋に書かれている言語は英語です。)
上記の理由1・2について、さらにその先の原因を探っていくと家庭によって理由は異なる可能性があります。どのようなアプローチが根本的な問題解決に有効なのか。
この続きは一度PAPRI内部で話し合ってもらうことになりました。
シャプラニールは、答えをこちらから提供するのではなく、共に考え、現地の人が自ら動いて問題解決していけるような働きかけを行っています。このPAPRIという団体は1999年にシャプラニールから独立したNGOです。
駐在期間中は、こうした現場の最前線の様子をお伝えしていければと思います。
<本日のベンガル語>
おはよう:
① シュボ ショカール →宗教に関係なく使える挨拶
② ノモシュカル →仏教・キリスト教・ヒンズー教といったイスラム教徒以外の人々に使う
ありがとう:ドンノバット / サンキューもよく使われています
(ダッカ駐在員 猪瀬)