6月12・13日の2日間、「災害時の連携を考える全国フォーラム」が開催され、私も参加しました。
日本は風水害や地震の脅威に常にさらされています。災害を防ぐことは難しいですが、事前の準備や事後の対応により被害を軽減することはできる。そのために多様なステークホルダーが相互に連携することの重要性がクローズアップされています。
災害時の連携を進めることをめざして開催されたこのフォーラムは、2016年にNPO法人として設立された全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(略称:JVOAD、ジェイボアッド)が主催し、内閣府政策統括官(防災担当)と災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(略称:支援P)の共催により開催されました。「災害対応と連携の新たな動き」と題した全大会に続き、様々なテーマが設定された分科会が行われ、2日間の合計で541人が参加しました(主催者発表による)。
JVOADは、東日本大震災の経験から広域の災害調整機関の必要性を感じた支援団体によって設立されました。そのモデルになったのはアメリカにあるNVOAD(National Voluntary Organizations Active in Disaster)。私も2012年に行われた防災関連のアメリカ研修でNVOADを訪問し、活発な取組や政府との緊密な連携のようすを見てきました。
今回の会議では2016年の熊本地震や2017年の九州北部豪雨など、最近の大規模災害における連携の事例が多く共有されました。特に印象に残ったのは、九州北部豪雨で大きな被害を受けた朝倉市で発災直後から行われた支援者間の情報共有会議。これまで各地の被災現場で開かれてきた情報共有会議では各支援団体が「自分たちがやっていること・やったこと」の報告に終始したのに対し、朝倉では上がってきたニーズに対し誰が対応するかを決めたり政策提言を行ったりと、結論を出す会議であった点が大きく異なります。また、ほとんどの場合行政側はNPOなどの支援団体が何をやっているのか「偵察」に来ているのに対し、朝倉市の担当者は「何ができるか」を考える姿勢で会議に臨んでいたそうです。
このように多セクター間の連携を実現するためには平時からの関係づくりが欠かせない、と多くの人が結論づけていました。シャプラニールが東日本大震災発災直後から福島で5年間にわたり被災地支援活動を行った経験からも、同様の結論を得ています。今回のような場で行政や企業、福祉団体など様々なセクターの人々とつながりを作ることもそのために必要なことと考えています。また、首都直下型地震を想定した災害対応ネットワーク「東京都災害ボランティアセンター・アクションプラン推進会議」に委員として参加し、北北ブロックと呼ばれる地域(武蔵野市、西東京市、小平市、東久留米市、武蔵村山市、清瀬市)の社会福祉協議会や行政との協働を進めています。
今回のフォーラムで、「つながりから協働へ」というサブタイトルに込められた、「単なるつながり・集まりにとどまらず、その関係性を深化かつ進化させていかなければならない」という思いが全国に広がっていることを実感しました。そのために私たちも努力を重ねていかなければ、と改めて感じた2日間でした。