2018年11月上旬、ミャンマー難民支援に携わる職員を対象とした研修を実施するため、事務局次長の藤﨑文子が3回目の現地訪問をしました。難民の大量流入から約1年経過した現場や難民支援の状況、シャプラニールが実施した研修とその中で感じたことを報告(第1回)をお届けします。

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国際社会による支援協調、尽きることのない現場ニーズ

昨年8月以降、国連機関、国際NGOおよびバングラデシュNGOによる、難民に対する人道支援が継続しています。コックスバザールのバングラデシュ人コミュニティ33万人をふくめた130万人を対象とした、国連・NGO対応計画(Joint Response Plan、以下JRP)が作られ、それに基づいた支援が行われています。教育、食料、保健、保護(女性に対する暴力、子どもの保護を含む)、栄養、シェルター、キャンプ管理、水と衛生など11の分野に分かれており、緊急を要する分野や人に対して効果的な支援が行えるよう、常にモニタリングが行われています。

1)動き出したバングラデシュ政府の支援
JRPに加えて、バングラデシュ政府もコーディネーションの中心的な役割を引き受けていることもあり、支援がキャンプ全体に行き渡ってきていることが印象的でした。木を伐採してつくった砂地に建つキャンプ地は災害に対して大変脆弱です。大雨による地滑りや暴風雨によってテントや人への被害が出る事が懸念されていました。幸いにも6月からの雨期、それに続くサイクロン(台風)の季節に大きな影響はなくやり過ごすことができました。難民支援に携わるすべての関係者が胸をなでおろしたことでしょう。

2)見えてきた「忘れられた存在」
一方、ミャンマー国内での暴力や人権侵害の経験によって傷ついた人々の心のケアが十分に行われているとはいいがたい状況です。バングラデシュでもキャンプ内の生活は厳しく、キャンプ外への移動は制限されており、有償ボランティアを除く就業は禁止されています。初等教育の提供は徐々に始まっていますが、10~20代の健康な青少年を対象とした活動は皆無に等しく「忘れられた存在」となっていることが気にかかりました。帰還するにせよ、バングラデシュに定住するにせよ、ロヒンギャコミュニティの将将来を担う若者が社会造りに関わり、自己肯定感を得ることのできる機会が必要だと感じました。また、自然もしくは人的災害など危機的状況下では子どもや女性に対する性的暴力が増加します。この視点から、女性・子どもを保護するだけでなく、コミュニティ全体への取り組みを増やす必要があると思います。

▼訪問したキャンプ地にて
国際NGO・CPI(Community Partnership International、以下CPI)が活動するクトゥパロンキャンプを視察。住居か密集して建てられています。

P1120819_rohingya_cpi01

▼キャンプ内での保健指導の様子
CPIのボランティアスタッフが妊産婦に対して行う保健指導の内容を教えてもらいました。P1120833_rohingya_cpi02

▼医療施設(クリニック)の視察
キャンプの中には防火対策として火消し用の砂が設置されている。P1120943_rohingya_pwj

次回(第2回)は、難民キャンプで実施した研修の様子をお伝えします。


シャプラニールでは現在、今回の現地視察で得た最新情報をもとに、政府や国際機関などの大きな支援から「取り残された人々」を対象に新たな支援を検討しています。
2017年11月23日、ミャンマー、バングラデシュの両政府はロヒンギャ難民のミャンマー帰還に向けた合意書に署名しました。しかしながら、具体的な帰還終了の時期は定まっておらず、ロヒンギャ難民問題は長期化することが予想され、国際社会による継続的な支援が必要とされています。どうか更なるご支援をお願いいたします。

引き続き、皆様からのロヒンギャ難民緊急救援募金および情報シェアのご協力をお願いします。

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