私たちのクラフト取引先であるサナ・ハスタカラが主催するフェアトレード・デーの企画に出席してきた。
開始時間と会場だけは確かめておいたのだが、招待状がネパール語で書かれていたので企画の内容までは理解しないまま、12時45分ころ会場に到着した。と、会場からはだれやら話をしている声が聞こえてくる。
内心慌てつつ、遅れてごめんなさいという雰囲気を全身で表現しながら着席した。
休憩の時間にサナ・ハスタカラのスタッフから、今日の出席者は生産者、サナ・ハスタカラのスタッフ、そしてゲストがいること、前半は5名の生産者(グループ)への表彰とフェアトレードに関わる人からのスピーチがなされたということ、後半はサナ・ハスタカラとその生産者のインターアクションの時間となるということを聞き出した。
表彰を受けスピーチをする女性
そしてこの休憩後のインターアクションが興味を引いた。
「適正な賃金とはどういうことか、どうやって適正と判断するのか」
「フェアトレードは商業ベースのものと違って仲介者がいないのに、どうして小売価格が高くなるのか」
「外国のことも知らないのに海外向けの新しいデザインを開発するなんて不可能だ」
「生産者にも海外視察のチャンスをつくって欲しい」
活発な議論が行われたインターアクションの様子
生産者からはこんな質問や意見が出されていた。
特に2番目の点については、何人もが手を上げて質問を繰り返し、それに対してサナ・ハスタカラのチャンドラ氏は適正な賃金を支払う以外にも研修や福利厚生のために収益の一部を貯めていること、また商業ベースの売買と違って取引の数量が少ないため必要経費などを含めると割高になってしまいがちなことなどを、私にもわかる易しい言葉で丁寧に答えていたが、生産者にとってはなかなか理解しがたいことのようだった。その後も活発な討議がなされ、予定より15分ほどオーバーして会は終了した。
実はこのセッションの最初に「買い手」という立場から何か話をするように頼まれたので、日本のマーケットでフェアトレード商品がどのように受け入れられているのかについて話をしたのだが、大量に出回る中国製、東南アジア製の商品などとの価格競争について触れたことが彼らの疑問をより大きくしてしまったらしい。
フェアトレードとは生産者と購入者が商品を通してつながることである。しかし、その関係が完全に対等であるとはまだ言いがたい。私たちは日本の購入者に対する情報提供については努力をしているつもりだか、生産者が自分の作ったものがどのような経路でどんな人の手に届いているかを知ること、それがとても大切なことなのだと感じた一日だった。