今朝、とある会議に出席するためいつもより遅く自宅を出た。徒歩10分ほどの会議場所へ直行したのだが、到着してみるとなんとなく皆が落ち着かない。歩いてきたので私は気がつかなかったのだが、どうやらカトマンズとパタンを結ぶ橋が封鎖されていて、迂回する道が渋滞していて主催者が到着していないというのだ。
事務所のスタッフは全員問題の橋をわたってこなくては出勤できない。事務所に電話をすると、始業時間を1時間過ぎても一名がまだ到着していないという。いくつかの情報を総合すると、どうやらマイクロバスの運転手たちがマオイストの暴挙に反対して交通封鎖をしているということらしかった。しかもその抗議をしている場所は事務所から近い。途中スタッフからのメールで「投石などが起きている様子なので今日は事務所に来ないほうが良い」と知らされた。
結局昼過ぎに騒ぎが解消したということで、私は事務所に戻れたが、なぜこの交通封鎖が起きたかという理由を聞いてあきれてしまった。事の次第はこういうことらしい。
昨日、マオイスト関係者(タマン解放戦線)がマイクロバスを降りるとき切れた10ルピー(約17円)で支払いをしようとした*。それを拒否した運転助手と運転手はマオイスト事務所に連れていかれ、ひどく殴られたという。この暴挙にマイクロバスの運転手他関係者が今朝からマオイスト事務所前で抗議行動を起こしたというもの。マオイスト側の一部は、鉄パイプや太刀などを持ち出して対抗しようとして、橋の周辺は一時大きな騒ぎになったという。事務所近くまで人が押し寄せてきたというのは、様子を見に行ったスタッフの談だ。
*ネパールのお札は日本のものに比べて汚いものが多い。人手を経て汚れてしまったもの以外にも、書き込みがされている他、銀行など札を大量に扱うところでは100枚などをまとめてホチキス止めをしたりするので穴が開いていたり、一部破れたものも相当数ある。しかし、受け取る方がそういった札を嫌うので、トランプのババ抜きのように押し付け合いになってしまうことが多い。
最終的にはマオイスト側が謝罪し、被害者(運転助手と運転手)にしかるべき補償をするということで納まったらしい。政党としてメインストリーム入りを果たしたマオイストが(その関係者とは言え)暴挙を働き、結果的に多くの人に迷惑をかけるということに納得がいかない。しかもそれがわずか10ルピーを巡ったものだったというのがなんとも情けない。