「あらゆる面で、此処のほうが働きやすいから」

シャプラニールの手工芸品生産パートナー団体を訪問し、そこで働く一人の女性と話をしていた時のこと。以前は縫製工場で働いていたことを知り、転職の理由を尋ねたところかえってきた返事です。

彼女の名前はナズマさん。クラフトリンクのパートナー団体「Prabartana」の生産者の一人です。リキシャ引きの仕事をする夫、学校に通う息子(10歳)、3歳半の娘の4人家族。首都ダッカでの生活費は夫一人の収入では心もとなく、子どもたちの将来も考え、共働きしています。CIMG0678.jpg

8年前までは、近所にある小さな縫製工場で働いていたそう。勤務時間は朝8時~21時。ノルマが終わらない場合は深夜残業もあった。長男が幼かったこともあり(かつ共働きで長男の面倒を見てくれる人が周囲にいない)、家を長時間空けるのは苦労したと言います。子どもが熱を出したり、病気にかかったりすることがあっても、休暇を申し出ても許可されないということも度々あったと言います。当時の給与は2,000タカ~2,500タカ。

いまの仕事は、朝9時~17時までの勤務。ノルマもあるけれど、深夜まで残業する等の無理を言われることはない。長男は学校に通っているので日中手はかからないが、娘がまだ幼く、時には職場に連れてきたり、仕事を休んだりしなくてはならない。それでも何かあれば職場に相談できるし、出来る限りの配慮をしてくれる。給料は出来高制なので変動するものの、おおよそ平均5,000タカ。

彼女と話ができたのはほんの10分程度ですし、これだけの情報で何かが導き出せるという訳ではないのですが、改めて働きやすい環境について考えさせられます。

クラフトリンクが目指すのは、モノづくりを通じでの生活向上。そのモノづくりをする場が、そもそも彼女たちにとって働きにくい、仕事を継続できない環境であったならば、それは本末転倒になってしまいます。

都市部の生産者、農村部の生産者、様々な境遇の女性たちに出会う機会があります。子どもの面倒をみて、3度の食事を作り、家の掃除をし、農村部の場合は家畜の面倒をみて、場合によってはお年寄りの面倒も見たりして。すべての仕事をこなすことを期待される女性たちが、夫の収入だけでは成り立たず(あるいは夫がいない状況で)生きていくために収入を得ようとする際、単に仕事の機会を提供するだけでなく、彼女たちが働きやすく、働き続けやすい環境を担保する必要があるということ。

団体によっては職場にデイケアセンターを備えていたり、家事育児の合間に仕事ができるよう自宅で仕事ができるシステムがあったり、それぞれの状況に合わせた選択肢を用意しています。当たり前のこと、前から分かっていたつもりでしたが、ナズマさんや彼女と同じような立場の女性たちから話を聞いて、腹の底に落ちるものがあるのも確かです。

ダッカ駐在員 植田貴子

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