2020年が始まりました。

昨年はみなさまにとってどのような1年だったでしょうか。日本各地で災害が相次ぎ、私たちも限定的ながら福島での救援活動を行いました。また、日本ではほとんど報道されませんでしたが、バングラデシュではサイクロンによる大きな被害が発生し、私たちが普段活動している事業地でも多くの家が破壊され住むことができなくなりました。シャプラニールは、被災世帯のうち特に経済的に苦しい世帯を対象とした住宅再建支援を行っています。

いわきでのボランティア活動の様子

いわきでのボランティア活動の様子

地球環境危機の影響により世界中いたるところで大きな被害が発生し、その度に同じような対応に追われる状況が続いています。災害による被害を最小限に食い止め、安心して暮らすことができる社会を作るために私たちは何ができるでしょうか。

子どもたちを取り巻く様々なニュースもありました。日本では、残念ながら虐待やいじめによって尊い命が失われる状況に歯止めがかかっていません。私たちが活動する南アジアでは、SDGsでも謳われている全ての子どもたちが質の高い教育を受けられる社会、そして児童労働のない社会を目指し様々な取り組みが行われ、私たちも微力ながら努力を続けています。一朝一夕に全ての課題が解決できるわけではありませんが、目標の達成に向けた最大限の努力を続けることが何よりも重要だと考えています。

バングラデシュの先住民族の子どもたちの教育支援活動のようす

バングラデシュの先住民族の子どもたちの教育支援活動のようす

シャプラニールとしては、昨年「クラフトリンク」として長年行ってきたフェアトレードの活動を見直し、これまでのような規模での販売を終了することとしました。しかし、生産者のエンパワメントや市民参加といったフェアトレードの意義の重要性を伝えていくための活動はこれからも継続します。一方で、「貧困のない社会を目指す」ために、新たな取り組みが必要であると考え、これからの方向性についての議論を始めています。例えば、人身売買など子どもたちを取り巻く様々な社会問題、あるいは増え続ける外国人労働者の権利擁護など日本国内の貧困問題への取り組みの可能性について話しています。

2021年度以降の新しい中期ビジョンを策定する作業も今年から始まります。シャプラニールのこれからを考える重要な一年になりますので、みなさまからのご意見、ご協力をいただきながら、「誰も取り残さない」社会の実現へ向け、着実な歩みを進めて行きたいと思います。

2020年がみなさまにとって実り多い一年になりますように。

2020年1月1日 事務局長 小松豊明