きのうの謎の話の続きですけど、私の周囲のバングラデシュ人NGO関係者の中では、「今回の非常事態宣言は軍による一種の無血クーデターである」という見方が優勢です。表立っては誰も言いませんが、内輪話ではそう言う人が多いですね。そして、この動きをとりあえず歓迎している人がほとんど。新選挙管理内閣が、投票人名簿の整備のため、国民IDカード導入を検討する、と言っていることもあって、次の選挙までは相当時間がかかるだろう、少なくともここ2~3ヶ月は平和が続くだろう、という見方が今のところ強いです。IDカード導入なんて本当にやるとしたらどんなにがんばっても1年はかかるでしょう。
表立って戒厳令が出たり、軍人が表に出てきたりすることは今のところないんですが、あえて姿を見せずに表向き「謎」のまま操るというのは、かなりの策士でないとできないんじゃないでしょうかね。
「二つの勢力が対抗し合うばかりでにっちもさっちもいかなくなったら、そりゃ第三者が出てくるのが自然な成り行きってもんだよ」と今日ある人は言っていましたが、ほんとにそうだとすると、その第三者が今後どう動くのか。それが問題ですね。
もし軍によるものだとしたら何が一番のきっかけだったのか。ひとつ、もしかしたら関係あるのでは、と思うのは、国連が「このままバングラデシュ軍が1月22日の一方的な選挙実施に加担するようであれば、国連平和維持軍から外す」と警告したことです。PKOで重要な役割を果たしている、というのはバングラデシュ軍の誇り。そして今海外に4万5千人いるというPKOに参加するバングラデシュ軍人の外貨収入もバカになりません。汚職でもブラックマネーでもなく、正規に得られる大きな収入ですからね。
この最後のあたり、半分はうちのスタッフたちが言ってることの受け売りです。まあ、これが正しいかどうかはわかりませんが、NGOで働いているような中流バングラデシュ人はどんなことを話題にしているのか、という視点で読んでくださいね。