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エッセイスト、TVコメンテーター、ラジオパーソナリティとして、幅広く活動されている犬山紙子さん。ゲームやマンガなどのサブカルチャーにも広く精通されている一方で、さまざまな社会問題、特に女性を取り巻く問題、ジェンダー、夫婦の関係、子育てなどについて独自の目線で問題提起をし続けています。
2018年には、昨今の児童虐待の現状に心を傷め、子どもを支援するボランティアチーム「こどものいのちはこどものもの」を発足し、タレントの眞鍋かをりさん、福田萌さん、ファンタジスタさくらださん、ミュージシャンの坂本美雨さん、アーティストの草野絵美さんとともに活動されています。

今回は社会変革に取り組む市民活動家としての犬山さんに、児童虐待防止の活動に寄せる想いや原動力、侵害されてしまっている「子どもの権利」について、大人としての子どもへの責任などについて伺いました。

PROFILE

犬山紙子(いぬやま・かみこ)
エッセイスト。大学卒業後ファッション誌の編集者を経て、2011年にブログ本を出版。現在はTVコメンテーター、ラジオパーソナリティとしても活動中。2018年、児童虐待問題の解決に取り組む「こどものいのちはこどものもの」を立ち上げた。またクラウドファンディングで社会的養護を必要とする子どもたちに支援を届けるプログラム「こどもギフト」を通じ児童虐待問題への啓発活動にも力を注いでいる。

キャンペーンTOP»「子ども支援を行う活動家に聞きました」犬山紙子さんインタビュー CHAPTER.2 『子どもの権利』を守るためのアクション

【CHAPTER.1】社会問題の解決に向けて
【CHAPTER.2】『子どもの権利』を守るためのアクション
【CHAPTER.3】子どもが自分らしく生きられるように

 

CHAPTER.2 『子どもの権利』を守るためのアクション

想いを可視化したTwitterハッシュタグのメッセージ

 「#児童虐待問題に取り組まない議員を私は支持しません」「#こどものいのちはこどものもの」に寄せられた皆さんの約5,000件の意見と、要約した文書を厚生労働省に提出したんですね。児童虐待防止対策に関する予算の増額や児童福祉士の数を増やすことを考えていると回答をいただきました。でもそれから劇的に待遇が良くなったというよりは、本当に徐々に改善されているなという印象です。そしてそれも私たちの成果というわけでなく、この問題に対してこれまで本当に尽力されてきた専門家の方々や関連団体の方々、そして今回声を上げたたくさんの方が、ちょっとずつ現状を良い方向に変化させているのだと思います。私たちは「これだけの人がこんなことを思っている」という意見や想いをSNSのハッシュタグの数で「可視化」することができるので、必要なところに社会の声を届けることをお手伝いしていると思っています。

厚生労働省の「令和2年度概算要求における児童虐待防止対策の抜本的強化関連予算の概要」を見ると、国家予算は増えるそうなんです。10月末の菅内閣総理大臣の所信表明演説で、児童虐待防止について触れていました。実際どのくらい動いてくれるかは分からないですが、言及されたことは素直に良いことだと思っています。ただ、実際に本腰を入れてしっかり予算を割いて対策を講じるかどうかを厳しい目で見ていかねばなりません。

厚生労働省の牧原副大臣を訪問された「こどものいのちはこどものもの」メンバーの皆さん(2018年7月撮影)

厚生労働省の牧原副大臣を訪問された「こどものいのちはこどものもの」メンバーの皆さん(2018年7月撮影)

 

児童虐待の問題は「社会の問題」

 日本では「子どもの権利」についての認識がまだ低いと感じています。つい4月に体罰禁止法(注2)ができたぐらいですもんね。全国2万人へのアンケート(注3)で6割が「体罰は“しつけ”」だと回答していたそうで、まだまだ子どもは親の所有物という感覚が根強いのかと。でもこれって“しつけ”と称して「子どもの権利」を侵害してしまっているんですよね。そもそも「子どもの権利」という概念を知らない方もいると思うので、少しでも関心を持ってもらうために、メディアで話す時は積極的にこのワードを使うようにしています。個人としては、子どもが安心して生活することについては、まだまだ国として保証されている状態ではないと感じています。事件が起きてからの対応ではなく、防ぐための予算がもっともっと必要なんじゃないかと。

(注2)2019年6月に児童福祉法等改正法が成立し、親権者等は児童のしつけに際して体罰を加えてはならないことが法定化され、2020年4月から施行された。(参考元:厚生労働省)
(注3)子ども支援専門の国際NGOである公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが2017年7月に全国2万人の大人を対象に、子どもに対するしつけのための体罰等に関する意識と、1,030人の子育て中の親や養育者を対象にその実態を把握するために、体罰等に関する意識・実態調査を実施した結果。

 

「こどもギフト」は寄付文化を根付かせるための一歩

 この児童虐待を改善するためには、厚生労働省へ意見書を提出して終わり、ではなく継続的なアクションが大切だと思っています。そんな時に、READYFOR株式会社の代表・米良はるかさんに番組で初めてお会いして、ふるさと納税を使ったクラウドファンディング(インターネットを通して自分の想いに共感した人や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を募る仕組み)のことを知ったんです。「あ、これをやりたい!」と思って、CM中に声かけちゃって、一週間後にはもう企画会議をしました(笑)

こうしてみんなのパッションが形になったのが、社会的養護を必要としている子どもたちに支援を届ける「こどもギフト」。寄付先は、児童養護施設、里親家庭、悩みを抱える妊婦の支援などさまざまです。ふるさと納税と絡めるのはかなり難しくまだ実現していないのですが…。当時、児童虐待防止のハッシュタグアクションで「何をしていいか分からない」「どう動いていいかわからない」という人がすごく多くいたので「じゃあ、寄付があるよ」って。ここで最初の寄付体験をしてもらって寄付へのハードルを下げるお手伝いもして、日本に寄付文化が少しでも根付いたらな、と思いも込めた活動ですね。

2018年11月、社会的養護プログラム クラウドファンディング型寄付「こどもギフト」開始の発表(写真右端)

社会的養護プログラム クラウドファンディング型寄付「こどもギフト」開始の発表(2018年11月撮影)


 

子どもたちに想いが届いて死ぬほど嬉しかった

 とある寄付先団体に訪問して、子どもたちと話をする機会がありました。そこで出会った高校生は「自分たちの体験を聞いて欲しい。それで少しでも救われる子がいるのであればどんどん話したいです。」と言ってくれたんです。そのとき、目から鱗が落ちたというか。これまでは傷つけることはしたくないという気持ちが大きくて、腫れ物を扱う感じだったのかもと反省しました。それからは話したい、と言ってくれればしっかりと聞いて、今どんな気持ちなのか、自分の半生を話してもらっています。

そうそう、クラウドファンディングの期間中に訪問したとある団体の壁に、寄付額の進捗が分かる手作りのバナーを貼ってくれていたんです。職員の方から、子どもたちが「へ~こんなことしてくれる大人がおるんやな~」と言ってたよ、と聞いたときは、死ぬほど嬉しかったですよね。子どもたちに酷いことをする大人だけではないよ、と伝えられたのかなと実感しました。

 

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【CHAPTER.1】社会問題の解決に向けて
【CHAPTER.2】『子どもの権利』を守るためのアクション
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