今回のサイクロンの被害の中でちょっと不思議に思っていることがありました。1991年のサイクロンでは家の屋根などに使われているトタンが暴風で舞い上がり、それが空飛ぶ凶器となって多くの人が大怪我をしたり、亡くなったりしたと聞いていたのですが、今回はトタンで大怪我をした、という話をほとんど聞かないのです。91年に比べればバングラデシュ全土ではトタン屋根のの家は確実に増えているはずなのに、なんでなんだろう?
被災地のバゲルハットから帰ってきたダッカ事務所のポリモールにこれについて聞いてみました。
ポリ「そういえば今回はトタンでの怪我ってほとんど聞かなかったね。それより今回は倒木による被害が大きいよね」
私「でもなんで?トタンの家は昔より増えてるはずでしょ」
ポリ「うーん、バゲルハットのショロンコラあたりのことでいえば、あのへんは元々トタンの家は少なかった、ということはいえるかもね」
私「トタンの重さは?昔と今と薄さが違うとか?」
ポリ「うん、いいところに気がついたね。そういえば昔のトタンてすごく重かったよね。僕が子どものころは1枚のトタンをおとな二人でようやく持ち上げてた記憶があるけど、今は4枚重ねてラクラク持ち上げられるからね。」
私「え?逆かと思った。昔のほうが軽くて簡単に飛んだんじゃないかと思ったんだけどそうじゃないの?」
ポリ「逆だよ。昔のトタンは重くて厚かったから、それが飛んで当たると大怪我して大変だったんだよ。今のトタンはペラペラだから、今回のサイクロンでも飛んで木にひっかかったりしてたけど、あれに当たってもそんなにひどい怪我はしないと思う」
私「ふーん、そうなのかなあ。木はどうなの?」
ポリ「今回被害が大きかったクルナ、ボリシャル地方は91年に被害が大きかったチッタゴン方面に比べると大木が多いんだよね。でもその多くは自然にそこに生えてる木じゃなくて移植した木なんだ。今回根こそぎひっくり返った木の根をいくつも見たけど、太い根っこの部分が短くて細い根ばっかりだった。ある程度苗が大きくなってから移植してるから、しっかり根を張ってない木が多かったんじゃないかな。」
以上はまだ昼休みの雑談レベルの話で、ちゃんと根拠を確かめたわけではないのですが、これからこういった事柄についての事実もだんだん明らかになっていくんじゃないかと思います。
バゲルハットとボルグナの被災地に行っていた2チームが戻り、ダッカでの私の調整業務もひと息ついたので、あさってからバゲルハットとゴパルゴンジに自分で行ってくることにしました。ノートパソコンとモデムつき携帯電話を持っていくので、うまくいけば「写真入り現場レポート」が送れるかもしれません。