ナルギス(Nargis)と名づけられたサイクロンがベンガル湾南海上に発生し、勢力を強めながらゆっくりと北上しています。今は衛星写真を数時間おきにネットで見ることができますが、これを見てもナルギスが周囲の雲を集めながらだんだん大きくなっている様子がわかります。
サイクロンは気紛れ。急に速度を落としたり上げたり、方向を急転換したり、途中で弱まって消えてしまったりすることもあります。だからまだなんともいえないのですが、今日中にはだいたいの進路がわかるという話です。
5月は11月に次いでサイクロン襲来の多い月。SIDRは11月15日でしたが、1991年の巨大サイクロンが襲った日は4月29日(つまり17年前の昨日)でした。この時期のサイクロンはミャンマー方向へ向かうことが多いようですが、バングラデシュを直撃する可能性もないとはいえません。
SIDRの傷跡もいえないまま、またサイクロンの直撃を受けたのでは目もあてられません。バングラデシュはちょうど乾期に灌漑稲作で作られたボロと呼ばれる米の収穫の季節ですが、まだ全土で稲刈りが終わったのは15%程度ということです。今週マニックゴンジやノルシンディの農村に行きましたが、一部で稲刈りの様子がみられたものの、まだ青々した田んぼのほうが大半でした。
SIDRほどの規模にはならないとしても、今サイクロンが来たら皆が待ちわびた貴重な米がまた大量にダメになってしまいます。ただでさえ昨年の洪水とSIDRによる米不足、そして世界規模の食料価格高騰のあおりを受けて危機的状況にあるバングラデシュ貧困層にとっては、大打撃となります。
来ないでナルギス、来ないでナルギス、と念じています。