第4回 斎藤千宏さん
最初の印象は、怪しいグループ
第4回の今回は、199798年のストライキ事件をはさんだ数年間、代表を務められた斎藤千宏さんにお話をお聞きしました。まずは、バングラデシュへ派遣される1977年当時のシャプラニールの印象からお話いただきました。「個人の想いが強く、ちょっと怪しいグループに見えた」と振り返ります。それでも、現在まで関わり続けたのは、どのような理由からなのでしょうか。
個人の想いから組織の姿勢へ
怪しさがなくなった理由のひとつには、様々な人が関わるようになり、個人の想いが何人もの想いへ、また組織の姿勢となったことがあるようです。斎藤さんは、この姿勢を「シャプラ・ウェイ」と表現しました。そして「シャプラ・ウェイは、3つの柱がある」と言います。
シャプラ・ウェイ、3つの柱
第1の柱は「難しい言葉で言えば、アカウンタビリティが組織に組み込まれていること」をあげました。「シャプラニールに集まってくる人たちが、対等に、本音で語り合い、解決する、ひらかれた問題解決を行っている」と説明します。「たとえば、97年に起きたストライキのときも、2004年のスタディツアーの感染症のときも、会員や関わっている人たちへ説明し、問題解決のプロセスを共有できたのでは」と、斎藤さんは話します。
第2の柱は「中核となる人材が生まれ、しかし淀まず、常に循環していること」だと言います。「人材は常に変わるが、シャプラニールの『らしさ』は変わらない。これがユニークなところ」と付け加えます。
そして、最後の第3の柱は「自己財源率の原則(※)」です。このシャプラ・ウェイは、言葉にこそなっていません。しかし、シャプラニールのブランド(らしさ)のひとつになっているのではないでしょうか
魅力的な活動のために
「一部の人たちの怪しい活動ではなく、もっと魅力を感じて人が集まってくる活動を」というのが斎藤さんのシャプラニールに対する期待です。「様々な活動しようとすれば、失敗もあるだろうし、わからないこともある。そのときは、自ら聞きにいき、開かざるを得ない。おのずと敷居も低くなるし、なくなるのでは」人が集まってくる魅力的な活動をしていくためにも「シャプラ・ウェイ」に取り組んで行かなければ、と改めて感じました。
※自己財源率とは、会費、寄付、クラフトリンクほか活動収入の全体に占める割合。シャプラニールは70%を目安にしています。2007年度は約87%(緊急救援会計を除いた場合は84%)。
さいとう・ちひろ
評議員。日本福祉大学国際福祉開発学部教授。1977年から1981年までバングラデシュ駐在員、ショミティ方式の基礎を作る。1995年から2001年、シャプラニール代表。