暴力の連鎖でなく平和的解決を
子どもたち・若者たちの学びの継続を
人々の日常の一日も早い回復を望みます

バングラデシュにおいて、今年6月の高裁判決を発端に、独立戦争で貢献した人々(フリーダムファイター)の子孫に対する公務員採用の優遇枠をめぐる学生たちの意思表示から始まった今回の抗議行動は、治安部隊等との衝突で多数の死傷者を出す結果となり、外出禁止令やインターネットの遮断などにより市民の生活に大きな混乱が生じる事態となりました。

その後、優遇枠縮小という最高裁判決を経て一時沈静化に向かうかと思われましたが、死傷者などの被害の実態が明らかになるにつれ、一般市民も巻き込んだ全国規模の抗議運動へと拡大し、首相の辞任要求が出されています。8月5日現在、さらに多くの被害者を出しながら衝突と混乱は収まる気配が見えません。

私たちシャプラニールは、バングラデシュの独立の翌年である1972年からこの国の人々とともに歩んできた団体として、一般市民や子どもたち、多くの若者たちが命を落とす現状を深く憂い、これまでご縁を繋いできた同国のたくさんの人たちの安全や暮らしの行く末、心に残される深い傷を心配しています。

バングラデシュは人口の4分の1以上を20代以下が占める国であり、次世代を担う子どもたち・若者たちこそがこの国の宝です。

教育機関が閉鎖され、交通や通信が遮断される状況の中、子どもたち・若者たちの学びも中断され、安全に健やかに育ち社会に参加するという子どもたちの権利も脅かされています。

私たちは、暴力の連鎖がこれ以上続くことなく、人々の当たり前の平和な日常が一日も早く戻ることを心より願っています。

2024年8月5日
シャプラニール=市民による海外協力の会

【追記】8月5日19:30
上記メッセージを午前中に出した8月5日午後、事態は急展開し、シェイク・ハシナ首相が辞任、暫定政権が樹立されることが発表されました。バングラデシュとそこに暮らす人々にとって、大きな歴史上の転換点となる1日でした。
私たちは今後も事態を注視しながら、バングラデシュの人々の歩みに寄り添っていきたいと思います。