シャプラニールのフェアトレード活動は、1974年独立間もないバングラデシュの大洪水に襲われたポイラ村で始まりました。手工芸品生産組合をつくり、 当時から現地で親しまれていた素材であるジュートの手工芸品を 日本で販売することを始めて、今年で50年。「フェアトレード」という言葉が一般的でなかった時代に、農村開発の一環として現地の人々の収入を得る手段」としての手工芸品づくりとその販売は、日本で一番早くフェアトレードに取り組んだ団体と言われるようになりました。
それ以降ネパールでも活動を開始、生産者の生活向上、特に社会的に弱い立場にある女性たちの自信・尊厳を取り戻すことを目指して活動を続けてきました。
活動の創成に尽力された吉田ユリノさんにお話しを伺いました。
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初めての現場ポイラで「この村で何が必要だろう」と考えた。大多数は零細か土地をもたない農民。当時は一日一食もやっとという状況だった。その中でも女性はさらに厳しい立場にいた。
私は「もし自分が彼女だったら口惜しい」と強く感じた。彼女たちも自分の人生の主人公として、自尊心をもって生きたいと願っているに違いない。現金収入を得る仕事を作ろう。私が知る「現地の資源」を総動員した。安価で入手でき、民具として馴じみのあるジュートを材料として、読み書きできなくてもできる仕事で、訓練を依頼できる場を利用して、皆で生活を良くするために協同で運営する、という活動を始めた。
私がしたことは小さなことだが、シャプラニールは忍耐強く継続してきた。結果、フェアトレードが人々の暮らしを確実に変えたと言えよう。
私たちの活動は自立を支え、心が通じ合う営みになっている。このことを今祝いたい。
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クラフトリンクのミニカタログ冬号発行に際し、上記の原稿をいただいた際、ユリノさんはシスターリリアンの存在を強調されました。 「現地の資源」 としていくつか挙げられている中で、 訓練を依頼できる場 すなわち、女性たちの安全が保障される信頼できる場というものがいかに貴重なものだったか。 シスターリリアンが運営されているジャガロニセンターは当時、作業所であり授産施設(就労や技能の修得のために必要な機会を与え、自立を支援する施設)でした。
シスターリリアンはシャプラニールの50周年記念冊子にも登場いただいている、パートナー団体ジュートワークスの創設者の一人で、フェアトレードの活動を一緒に作ってこられた方です。 外に出て社会活動をするのは男性で、女性は家の中で家事をする。当時、女性たちは沢山の子どもを産み育て、ご飯も子どもたちが食べ終わった後にお母さんが残り物を食べる。今よりさらに女性が困難を抱えながら生きていた時代に、二人の女性の熱意と信頼関係が生んだ活動。それがどれだけ多くの女性たちを励まし勇気づけ生きる力になってきたことか、改めて当時のことに想いを馳せます。活動を続けていく原動力をいただいている想いです。
50年を経て、活動地の状況や日本の消費社会を取り巻く環境は、大きく変化をしています。その中でクラフトリンクの活動も紆余曲折、活動縮小があり、試行錯誤を重ねています。バングラデシュは著しい経済発展の中で、職業の選択肢も増え、まだまだとはいえ女性の社会進出も増えています。今後、どのように時代に向き合い、現地の人々に寄り添って活動を続けていくか、模索しながら新しい可能性を探っていきたいと思っています。
(クラフトリンク担当 小川)
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シャプラニールのバングラデシュ・ネパール事務所のフェアトレード担当スタッフより、みなさまへ
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わたしたちの商品をご購入いただき、誠にありがとうございます!みなさまはバングラデシュの女性や子供たちの安定した暮らしを支えてくださっています。バングラデシュの女性たちのご支援に感謝いたします。
マフザ・パルビン/シャプラニール・バングラデシュ事務所
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継続的なサポートと、ネパールで作られた商品へ励ましをいただき本当にありがとうございます。生産者はいつも、日本のみなさまに気に入っていただける新しいデザインの商品をワクワクしながら、心から喜んでつくっています。 商品のご感想をいつでもお寄せください。
スリジャナ・シュレスタ/ シャプラニール・ネパール事務所
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