賃金には日払いもしくは月払いの2つがあるが、これが一番の問題である。2008年では日当は最高32.5タカ(2013年9月のレートで約40円)とされていたが、最低賃金局(Minimum Wage Board)によって2009年9月1日付けで48.5タカ(同61円)に引き上げられた。いずれにしても非常に低い金額であり、日々の生活は苦しい。
紅茶園の労働者は配給を受けられるが、それでも食卓にまともな食事が並ぶことはほとんどない。たんぱく質の不足した食事を朝昼摂る。多くが栄養不良であることは一目瞭然だ。当局が賃金引上げを行う以前は、バングラデシュ紅茶労働者組合(以下、組合)とバングラデシュ紅茶協会(以下、協会)の代表が協議し、2年に一回合意書を交わして賃金を決めていた。そのようにして交わされた合意書は2009年9月1日のものが最後で2011年8月31日に失効した。
<住民グループのミーティングで日々の問題を話し合う>
執行部は2009年の交渉で日払い労働者の日当を32.5タカから90タカに引き上げるよう要求した。
政府当局によって紅茶園労働者の最低賃金が48.5タカと定められたことは前述したとおりである。一番最近の交渉(2009年執筆当時)では、日当69タカで双方が合意、2013年6月までこの賃金は有効となっている。
住居の保証以外に、手当て、皆勤報奨、配給、作物を育てるための空き地の使用、医療サービス、退職金、年金などがある。協会は退職金などを勘案すると、2008年の水準で日当は73タカ(92円)に相当、2009年以降の新しい賃金では89タカ(112円)であると計算している。しかし、組合新執行部の計算は協会のそれよりも低い。
Tea Plantation Rules 1977)」を拠り所としてきた。2006年、上述の法令を含めた労働関係の25の法令を無効とし、新しく「バングラデシュ労働法(2006年)」が制定された。
同法律によって工業労働者(Industrial
Labor)の最低賃金は現金1,500タカとされた。これより賃金の低い紅茶農園の労働者たちは、現金ベースでの最低賃金の引き上げを求めたが却下された。2008年7月20日付けの政府関係者の書簡で「今回周知された最低賃金は紅茶園労働者には適用されない」こと、「これとは別に紅茶園労働者の最低賃金について検討するための委員会を別途設置、そこで協議する」旨が記されている。
(続く)
出典:フィリップ・ガイン(SEHD)
The Story of Tea Workers* Philip Gain (Society for Environment and Humane Development )注:写真はすべて2011年8月インド西ベンガル州の紅茶園にて撮影したもので、本文(バングラデシュの紅茶園)とは関係ありません。