先日、パートナー団体であるGBKがダッカで共催するワークショップに出席した。ECとICCO(オランダのNGO)の支援を受け、GBKとSEHD(Society for Envoirnment and Human Development)がバングラデシュの紅茶園労働者と、ほとんど知られていない小さな先住民族に関する調査プロジェクトの紹介だった。
SEHDはバングラデシュの先住民に関して複数の本を出版している。代表者のフィリップ・ガイン(Philip Gain)氏自身、先住民族マンディの出身で、論文だけでなく非常に魅力的な写真を撮る人でもある。
私が出席したワークショップで配られた冊子「バングラデシュ紅茶園労働者の話(The Story of Tea Wokers)」は、フィリップ氏による同名の著作からの抜粋である。日本でもあまり知られていないバングラデシュの紅茶産業や労働者の置かれた状況について簡潔にまとめられたものである。これから何回かに分けてブログで紹介していきたい。
掲載する写真はすべてインド西ベンガル州ジョルパイグリ県で2011年に撮影したもので、本文とは直接関係ないものであることをお断りしておく。
<写真:茶摘を終えて昼休憩のために家に戻る女性たち>
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バングラデシュの紅茶園労働者の話*
フィリップ・ガイン(SEHD)
The Story of Tea Workers* Philip Gain
(Society for Environment and Humane Development )
<写真:紅茶園の入り口。看板には紅茶園の名前が書かれている>
ほとんど知られていないが、インド・パキスタンの分離後、現在のバングラデシュで栽培された紅茶の大部分が西パキスタンで消費されていた。バングラデシュが1972年に独立した後も、パキスタンは紅茶の第一の輸出先であった。しかし、現在ではバングラデシュ国内で生産された茶葉のほとんどは国内で消費されている。2007年、バングラデシュで生産された茶葉は57.9百万キロ。輸出されたのは10.6百万キロ、そのうち82%がパキスタンへ輸出されている。もし、バングラデシュにおける茶葉の生産が伸び悩み、国内の消費がこのまま伸び続ければ、バングラデシュはいずれ紅茶の輸入国となるであろう。そして、2011年には紅茶の輸入が始まったという報告がなされている。2007年世界で10番目の生産量を誇ったバングラデシュではあるが、紅茶はこの国にとって輸出商品としての地位は、もはやゼロに等しい。(続く)