午前中、パートナー団体のCOLIとのミーティングを終え、会議室から席に戻ったら、「アパ、カウランバザールで大火事だよ」とスタッフがいいます。ダッカのビジネスの中心部、カウランバザールにある11階建てのオフィスビルで火災が発生し、消防車のほか軍のヘリコプターも出て消火と救出にあたっていますが、いまだに数百人がビルの中にとじこめられているというのです。このビルはntv、RTVの2つのテレビ局、新聞社Amar Deshなどマスコミが多くはいっているビル。ダッカ事務所や私の口座があるスタンダード・チャータード銀行のすぐそば、いつも道路の渋滞がひどいところです。2階から火が出たというのですが、原因は不明です。この事務所ではテレビは見られないので、今どうなっているかよくわからないのですが…。大惨事になりそうで、心配です。
追記(3月4日):この火事では結局4人が亡くなり、50人以上が負傷しました。亡くなった人の中には直前まで夫に携帯電話で助けを求めて泣きながら、最後は窓から飛び降りてしまった、という女性もいて、本当にお気の毒だったのですが、11階のビルがほぼ丸焼けになり、消防車が来るまでに通報から40分かかったこと、ろくな消防設備がなかったことを考えると、この被害で済んだのは奇跡的、という気がします。屋上に逃げた人たちの救出にはビル火災ではバングラデシュ初というヘリコプターによる救出も行われましたが、日本政府から17~18年前に送られたというダッカで唯一その高さまで届くはしご車も活躍しました。他の消防車のクレーンは7階ぐらいまでしか届かなかったため、8階~10階あたりの窓辺で助けを求める人たちの救助は困難を極めました。
ダッカ市内には急激に高層建築が増えていますが、ビル火災に対応する消防態勢は非常にお寒い状況です。バングラデシュには今、13階以上まで届くはしご車やクレーン車はないそうですし、水を放射する射水器もなく、消防隊員数も圧倒的に不足。隊員たちはろくな防火服も着ていない、という状況です。断水も多く、高層フラットの窓にはすべて泥棒よけの金属柵がはまっている(うちもそうですが)ダッカのこと、早く対策を立てなければ、次のビル火災はこんなものではすまないでしょう。
ちなみに、選挙管理内閣でなく、前政権の間にこの火事が起きていたら、もっと被害はひどかっただろう、と一般市民は噂しております。今回ほぼ全焼の被害を被った2つのTV局の創設者は前政権の有力国会議員だったんですけどね。
そういえば、この火事の調査報告書がもう出ているはずなんですが、内容が新聞になかなか載らないのはなぜでしょう。