昨夜遅く、カレダ・ジア前首相の愛息でBNPの幹部でもあるタリク・ラーマンがついに逮捕されました。夜中に前首相の住居を軍と警察が包囲して電話線も切り(携帯電話も不通にし)捕まえる、という逮捕劇があったようです。→新聞記事はこちら
彼が着服したり立場を利用して儲けた金を全部集めれば、海外からの援助がなくてもバングラデシュはやっていけるとまで言われるほど、巨額の汚職に絡むと目される「王子様」ですが、なにしろカレダ前首相と故ジアウル・ラーマン元大統領の間に生まれた長男。ほんの少し前までは誰にもどうにもすることができず、まさに「アンタッチャブル」だったわけです。前にも2度ほど警察と軍が前首相邸を捜索していたことは報道されており、タリクの側近やビジネス仲間も次々逮捕されていたので、これは時間の問題だろうとは誰もが感じていましたが、予想以上に早かったな、という気がします。
同夜、アワミ連盟党首のシェイク・ハシナ宅にも警察と軍の捜査が2度入り、ハシナの従兄弟にあたるシェイク・ヘラルらを捜索したとのこと。昨日は、チッタゴン市長など他の大物も何人も逮捕されました。
選挙管理内閣は行政と司法の分離を成し遂げ、5年の任期の反汚職委員会の委員長には「いかなる人物も例外にしない」と確固たる意志を表明している元軍人の強面を据えました。政権が変わっても、以前のような「アンタッチャブル」が生まれにくい体制は着々と作られています。
本当にこれは稀にみる周到な「革命」だな、と思います。「選挙管理内閣」という特殊な政権を前面に据えて、戒厳令も敷かずに次々と改革を行う、などというのは世界でも歴史上例のないことでしょう。
スラムの強制撤去や路上の露天商の追放など、最貧層が直撃されるような施策も実行され、追われた大量の人々の状況はどうなっているのか、今後どうなるか、というのは注視していく必要がありますが、こういったかなり強引な施策についても今のところそれほど非難が出ないのは、軍が怖いということもありますが、スラムや路上の人々のみならず、名の知れた大会社や政党の事務所などであっても、違法建築であれば例外なく取り締まったり取り壊したりしているからでしょう。
旧空港近くのRangs Bhabanという数階建てのビルも、政府の土地にブラックマネーを積んで違法に建てられたビルだということで、近々撤去され、そこを通過してグルシャン側につながる道路が作られる予定だと聞きました。このビルの前の三叉路は市内の渋滞ポイントのひとつ。本当に道路ができればかなり渋滞も緩和されそうです。さて、どうなりますか。