ちょっとご無沙汰している間、インド西ベンガル州のコルカタへ出張しておりました。
ところが...。私たちが着いた日の前々日ぐらいから降り続いているという雨のせいで、コルカタ市内はあちこちで道路に水が溜まり、道路だか川だかわからないような状況。タクシーで夜ゲストハウスにたどりつくと、宿の前の道はふくらはぎぐらいまで水がたまっています。仕方ないので、ずぼずぼと水の中を歩いて宿へ。宿に着いたらバチバチっと音がして電気回線がショート。これを宿の人が直している間にも、水はヒタヒタと高さを増し、夜中には泊まっていた1階の部屋にも水が入りそうになり、3階へ緊急移動することに。
この宿、1階、2階がゲストハウスで、3階がオーナーの自宅。私たちが緊急に泊めてもらった部屋も、それぞれオーナー一家の私室だったのでした。私が泊めてもらった部屋は、数年前に亡くなったオーナーのおばあちゃんの部屋だったそうで、50~60年前のものと思われるセピア色の写真が壁にいくつも飾られ、壁際には古い足踏みのシンガー・ミシン。緑地に白い花のモチーフが入った床のタイルも、アンティークな感じで、雰囲気のあるお部屋でした。
せっかく親切に精一杯対応してもらったのですが、宿の前の水は増す一方。これでは外に出られなくなってしまうので、翌日には街の中でも少し高いところにある別の宿を探して移動。深いところでは腰の高さまで水が来ている道を荷物を持って移動するにはリキシャ(コルカタでは人力車をさす)のお世話になるしかすべがない、という状況でした。
出張中毎日雨が降り続き、二日目の夜からは私も同行のダッカ事務所のスタッフも熱を出してフラフラ。頭が痛い、関節が痛い、と二人してグチリつつ、雨の中パソコンを背負ってよろよろとパートナー団体ポリチティ(家政婦として働く女性たちを支援)とのミーティングに向かったのでした。4月に開所したばかりのポリチティのドロップイン・センター兼事務所も浸水しているのでは…と心配したのですが、なんとか無事。しかしスタッフたちの家にも水が入って大変、とのことでした。最終日の夜いっしょに食事したもうひとつのパートナー団体、DRCSC(環境教育活動を実施)代表のオルデンドゥさんは、「6月末と今回の雨と洪水で活動地の農民の多くが田植えの時期を逃した」と心配されていました。
植民地時代の建物の多くをそのまま使っている古い町コルカタは、旅行者にとっては風情のあるところですが、住んでいる人には大変。下水設備なども古いままなので、これほど人が増えた今ではどう考えてもキャパシティ・オーバーです。ポリ袋などのゴミが下水道を詰まらせることや、コルカタの周囲の湿地が急速に開発されて、大規模なニュータウンが次々に建設されていることなども、問題の原因としてあげられています。
昔はこんなことなかったのに...とぼやいていたゲストハウスの人たちも、これではお客を逃してしまって気の毒。コルカタ市中に大勢いる路上生活者の人たちにいたっては、いったいどこでどうやってこの雨をしのいだのか、想像を絶するものがあります。コルカタの都市問題の深刻さを垣間見た出張でした。