バゲルハット県、ゴパルゴンジ県のサイクロン被災現場を訪問し、昨夜帰ってきました。見たこと、感じたこと、いろいろあるのですが、今日は主に風の話。
被災地の倒木は、バゲルハットでも、ゴパルゴンジでも、みな同じ方向に倒れていました。サイクロンの暴風は北東から吹いてきたことがわかります。今回バングラデシュを襲ったサイクロン、SIDRはバングラデシュ南西部に上陸して北上し、途中で北東に方向を変えて抜けていったのですが、サイクロン自体は左回りに回転しながら移動していったので、現地では強風は北東方向から吹いていたわけです。
第三次救援を実施中のゴパルゴンジはバゲルハットよりかなり内陸に入ったところで、ゴパルゴンジ県内でも北部はほとんど被害がなく、南部のトンギパラ郡、コタリパラ郡などで強風による被害がありました。今回救援を行っているコタリパラ郡の中でも南部の3つのユニオンでとくに被害が大きくなっています。サイクロンの進路と地図を見比べて見ると、おそらく南から北上してきたサイクロンはこのコタリパラ郡南部あたりで北東に方向を変え、コミラ方面に抜けたのではないかと思われます。
ここはショロンコラのように高潮の被害にあったわけではないので、水で何もかもさらわれてしまった、という状態ではないのですが、強風による家の破壊はかなり激しいものでした。この地域にはかなり広い湿原があるため、その湿原の南側にあたる地域では風をさえぎるものがなく、もろに家が北東からの暴風を受けてしまったようです。元々ヒンドゥーのアウトカーストの人々など、貧しいマイノリティの人たちの多いところなのですが、その中でも寡婦やお年寄りの世帯で家が潰れたところはいかにも大変そうでした。
元々貧しい人たちの家はひ弱だったためということもありますが、地震の後のように潰れた家々を見て、今回のサイクロンの暴風の強さをあらためて感じました。
写真=コタリパラ郡南部のシュワグラム・ユニオンにて12月9日撮影