現在、日本に住む外国人の数は約300万人。街中やお店で外国人の方を見かけることが増えました。
「そもそもどうして日本に来てくれたのだろう?」「日本では何をして生活しているの?」
そんな疑問を持ち、在住外国人の方にインタビューを実施することにしました。


今回快くインタビューに応じてくれたのは、ポーランド出身のオルガさん。
いつも明るく元気で、日本語も堪能なオルガさん。日本での生活は苦労も多かったそうですが、それでもユーモアたっぷりにお話ししてくれました。

きっかけは「日本の歴史」

日本に興味を持ったきっかけは、主に日本の浮世絵や甲冑、日本史が好きだからです。そのために日本語を勉強しようと思いました。ポーランドでは、日本美術の専門家でも日本語を話せない方が大勢いたので、わたしは日本語が堪能な研究者になりたかったんです。そのときは、日本に住むのではなく、日本語を習って、ポーランドで仕事をするつもりでした。

日本とポーランドを往復

初めて日本に来たのはただの旅行でした。大学の夏休み中に東京に来て、色んな博物館を訪れました。日光にも行きました。

そのとき、後にパートナーになる方と出会い、一緒に楽しい時間を過ごしました。
その後、ポーランドに帰国しましたが、連絡は撮り続け、年に一回は会っていました。

大学を卒業した後、日本に留学することを決め、来日。日本語学校に入学し、1年半日本語の勉強しましたが、紆余曲折あり、その後、彼と一緒にポーランドに帰って、また大学に入学しました。

ポーランドでは、二人で色んな苦労をして、何回も引っ越して、何回も仕事を変えて、やっと首都のワルシャワでまともな生活ができるようになりました。そして、その後、彼と結婚。二人で日本へ戻ることにしました。夫は会社に入って、私は寿司屋でアルバイトをしながらなんとか卒業論文を完成させ、2018年に大学を卒業。ここまでポーランドに帰ったり日本に戻ったりしましたが、2018年4月から日本で正社員として働いています。

日本のゲームセンターで遊ぶオルガさん

生活の中で直面した不便さ、そしてやさしさ

不便なことはたくさんありましたが、最近ほとんど解決できるようになりました。差別的なことを感じる瞬間は何回もありました。でもその分、それ以上の素晴らしい優しさを感じる時もありました。何度も知らない人に助けられたことがあります。

日本は全体的に住みやすい国だと思います。歴史、文化、そして山や海などの自然の景色が素晴らしいです。見たことない、食べたことないものもたくさんあって、毎日新しい体験ができています。

母国語の情報が無い中で

まだあまり日本語は上手とは言えないのですが、なんとなく頑張っています!言いにくい発音が多いので、母音の長さで困ったことがあります。(主人と囚人を間違えたり…。)

税金面、通院、就職など、生活に必要な情報が母国語で書かれていることは基本的にないです。なので、本当に分からない言葉は翻訳アプリで探しています。

最近はGoogle Translateで手書きの漢字が翻訳できてとても便利で気に入っています。私のバランスが悪くて、書き順も自由すぎた漢字でも読み取れます!

母国語の案内や説明書があればもちろんありがたいと思いますが、ポーランド語がかなりマイナーな言語なので基本的に探そうとは思わないですね。本当に困っているときは、とりあえずアルファベットで書かれている文字を確認しています。

英語の情報は十分だと思いますが、たまには分からない英語もあります。例えば、書類の名前などです。そういうものは、日本語のままで覚えて区役所の方に聞いた方が早いです。

しばらく帰ることができていない母国 ポーランド

COVID-19の関係や、隣国の戦争の関係で、しばらくポーランドには帰っていません。将来、何が起きるかわからないのですが、今のところ日本で家族を持って、働いて、生活を続けたいと思っています!

ポーランドの首都ワルシャワの旧市街

わたしの好きな日本語

好きな日本語は「木漏れ日」。しかし最近は「半額」や「値下げ」ばかり気になっています。「口寂しい」も好きで、よく使います。


インタビューを終えて

今回のインタビューでは、外国人だけでなく、私たち日本人もより暮らしやすい社会を実現するためのヒントを得ることができました。

例えば、役所での手続きや書類の名前などは、日本人にとっても難しいものです。その際、わかりやすい日本語を用いる工夫をすれば、ご高齢の方や外国の方も利用しやすくなります。またそこで地域のコミュニケーションが活発になることも期待できます。

また、現在の世界情勢の影響を大きく受け、母国に戻れない方もたくさんいます。オルガさんの母国ポーランドは、隣国ウクライナからの避難民を多く受け入れていますが、将来の見通しが困難な中、生まれ育った場所と違うところでの生活を続けている方々もいるということを改めて感じました。


シャプラニールでは、在住外国人にかかわる取り組みを行っています。日本でともに生きるすべての人々が、自分自身の個性を隠すことなく生きられるように、そして地域全体のコミュニケーションを活発にし、困ったときに国籍を超えて助け合える関係を築いていけるように、さまざまな活動を進めています。活動について詳しくはこちら

コミュニケーショングループインターン 黒瀬