カトマンズ市とラリトプール市で始まった「カトマンズ盆地における復興支援とコミュニティ防災プロジェクト」。現地では、”安全な地域を作ろう”という意味の”Create Safer Community(CSC)”という通称を使っています。
初年度はまず地震からの復興支援ということで、対象地域で特に困難な生活を強いられている人々の収入向上に取り組んでいます。
福島での復興支援でも経験したことですが、大きな災害が発生して復興プロセスが長期化するにつれ、それ以前から存在した様々な社会課題が顕在化します。私たちの活動地でも、元々貧困状態にあった人々が、今回の地震によってより厳しい状況に置かれています。

ラッジュ・マハルジャンさんは、元々縫製の仕事をしながら一緒に暮らす親の面倒を見ていました。しかし、家が崩れ住めなくなったため、遠く離れたところに部屋を借りて暮らしています。そのため工場に通うことが難しく、思うように縫製の仕事ができなくなりました。今暮らしている場所で縫製の仕事ができれば、以前のように収入を得られると考えています。

スタッフに今の状況を話すラッジュさん(左端)。

スタッフに今の状況を話すラッジュさん(左端)。

元々住んでいた家の前で。倒れてこないようにつっかえ棒をして支えている。

元々住んでいた家の前で。倒れてこないようにつっかえ棒をして支えている。

この他にもたくさんの人が、自分の家に住めなくなってしまったことにより非常に困難な状況に置かれています。老夫婦と障害のある子どもたちだけで、収入を得る手段もほとんどないため近隣住民のサポートも受けながらなんとか苦境をしのいでいるという家族もあります。災害時に仮設住宅が提供されたり、生活保護制度がある日本と違って、こうした最貧困層に対して災害時を含めた支援策がほとんどないネパール。大地震発生から間もなく丸2年が経とうとしていますが、まだまだ厳しい状況が続いています。私たちの支援も非常に限られたものですが、少しでも有効に、そしてより必要性の高い人々へ届けたいと考えています。