2015年の大地震から6年目を迎え、4月24日には地震で崩落したダラハラ(別名ビムセムタワー)の新しい姿がお披露目されました。
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新しいダラハラはコンクリート製でエレベーターもあるらしい
5年目となる昨年に大きな周年事業を考えていたがCOVID-19に対するロックダウンのためにできなかったネパール政府は今年こそはと思っていたようですが、残念ながら今年も大規模に祝うことが出来ない状況になってしまいました。2020年の11月以降、COVID-19の新規感染者数が100名以下にまで減っていたのですが、3月末頃から増え始め4月27日の新規感染者数は4,334名にまで達しています。

4/27、朝8時の病院前。ワクチン接種の列。知人は4つの病院を回って最後に4時間以上並んで打ったとのこと
昨年末から、政党内、政党間の権力争いに明け暮れていたネパール政府ですが、先週あたりから郡(日本の都道府県相当)に行動制限の権限を与えたり、学校閉鎖などの処置を取り始めました。そして、新規感染者数が3000名を超えた日曜の翌日4月26日にカトマンズ盆地内にある3つの郡で行動規制(Prohibitory Order)を4月29日(木)から15日間実施することが発表されました。
この行動制限とはどういったものでしょう?細かな記述がありますが、主なものとしては次のようなことです。
・公共交通含む車両の運行禁止。生活必須サービス(Essential Service)関係車両は通行可能だが、通行許可書を取ったりIDの提示が必要。
・カトマンズ盆地への入域は救急車、医薬品運搬のみ。それ以外は原則不可で入域したら市町村指定の隔離施設に14日隔離
・野菜や乳製品の販売、水、金融機関、ゴミ処理等生活必須サービス以外の営業禁止
・野菜、生活必需品店は午前10時までと17-19時で営業可
・会議、研修、集会など禁止だが、結婚式、葬式などは郡から許可を取って感染対策を取れば15名まで可能
カトマンズ盆地の入り口を中心に道路に警察官が増員され、人々の移動が規制されます。ネパール事務所も全面的に在宅勤務に切り替えます。
ここ最近は、人によりますがマスクやフィジカルディスタンスといった感染対策への意識が薄れ、昨年できなかったお祭りに人がわんさか集まってしまっていました。しかし、さすがにネパールと越境自由な国境が約1,800㎞も接しているインドでの感染爆発や最近の若年層の感染と重症化の傾向を受けて、人々の危機意識が高まっているように感じます。さて、今回の行動規制でびしっと人の動きは止まるでしょうか。
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村に帰るため、行動規制中の急用時のため、ガソリンスタンドに長蛇の列
感染も怖いですが、人々が恐れいているのが、この行動規制やロックダウンです。行動規制が発表されて2日間で10万人以上がカトマンズを脱出して地方へ戻っています。ロックダウンで仕事ができず家賃が払えずひもじい思いをした昨年の経験を踏まえてのことです。日雇い労働者を中心に生活は厳しくなることが予想されます。また、すでに学校が閉鎖されており子どもの教育、成長への影響、デジタル格差による教育格差とその後の経済格差の拡大が懸念されます。
私自身も食料品は買えるのだから大丈夫と思っても、やはりソワソワ落ち着きません。そんな人の気持ちを知ってか知らずか、ジャガランタは今年も変わらずきれいに咲いています。
ネパール事務所長 勝井裕美
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紫が美しいジャガランタ