カトマンズにいると、週末でも仕事絡みで外出することが結構多い。ワークショップ、記念式典だけでなく、パートナー団体から活動視察のお誘いを受けることもある。ネパールNGOの多くが土曜のみの週休一日制をとっていることもあるが、私としても気ぜわしい平日よりも、休日に足を運ぶほうがゆっくりと出来て嬉しいこともある。

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今日もそんな一日で、パートナー団体CAP-CRONが1週間前から始めた使用人として働く子どもを対象としたNFE(ノンフォーマル教育)クラスに誘われ、スタッフ二人と出かけることにした。講師役の女性の研修が完了していないため、本格的な授業ではなく、参加する子ども同士、そして子どもと講師が仲良くなるための時間という位置づけで、ゲームを交えて楽しそうに遊んでいる。

「あなたはスンタラ(ネパール語でオレンジ)、はいあなたはケラ(同じくネパール語でバナナ)、次スンタラ、はい君はケラ」

「さあ、ケラケラ*はこっちに集まってー、スンタラさんたちはあっちだよ」

輪になって座っている子どもたちをグループ分けするのでも、ちょっとした工夫で楽しくなるものだ。集まってきたのは10歳から17歳までの8名。くすくす笑いながら指示に従っている。その後、簡単なネパール語の教科書を使って簡単な読み書きを学んでいた。

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8名のうち、女の子が5名、男の子は3名いた。驚いたのはその中で3名がインドから来ているということで、ダージリンが2名、もう一人はネパール東部国境に接するシリグリという町から来ていた。初対面だったことと、既に始まっていたアクティビティを邪魔しないため、今日は詳しいことを尋ねるのはやめたのだが、家に帰ってきた今でもインドから来ている子どもたちのことがどうも気にかかる。

カトマンズに来て既に8年になるという女の子はもちろんのこと、こちらに来て6ヶ月という女の子もネパール語は理解できているようだ。しかし、反対にネパール語が流暢になればなるほど、自分の母語を忘れてしまうのではないかと心配になる。ネパールで生活するためには、ネパール語の読み書きが重要になるけのは事実だが、それだけで果たして良いのだろうか。かといって、子どもたちの母語で教育を行うだけの余力はないし・・・。私自身、どうしたらいいかの答えはないが、今度パートナー団体のスタッフを交えてよく話をしてみよう。

一つ歩みを進めるということは、新たな悩みにぶつかることだとつくづく実感した。

*ネパール語では複数形を表すのに名詞を重ねて表現する

2006年7月9日