昨日までチトワンに一週間出張していた。シャプラニールの会報別冊である「もう一つの南の風」(年2回発行)でも書いた新規の農村開発プロジェクトの調査のためだ。
1週間の滞在で様々な体験をしたが、なかでも面白かったのが「歌垣」体験である。
歌垣というのは「日本において、古来よりある時期まで続いた、特定の日時に男女が集まり、集団で和歌をうたう集会のこと。『万葉集』には筑波山に男女が集まり、歌垣を楽しんだ様子が残っている。当時、歌垣は人々の交流の機会としてだけではなく、近代の中国奥地の少数民族に見られるように未婚男女の求婚の場でもあったという見解があるが、定かではない」(Wikipediaより)である。
東南アジアから日本に伝わったといわれるこの歌垣、ネパールでもマガール族などの間でいまだに見られる風習のようである。ネパールのテレビ局でも、複数男女が登場し即興の歌を掛け合う様子を番組として放送している。
チトワンで体験した歌垣は、同行したネパール人の友人のゲストハウスで見たものだった。そこで働く女性が実はネパールでも有名な歌手であるということを知った私たち、是非彼女の歌を聞かせてもらおうとお願いしたところ歌垣が始まった。ノートを取ったわけでもないので、多少の歪曲はご容赦いただきたい。
女性「そこにいる日本人にあなたの得意な踊りを教えてみなさいよ」
男性「彼女はとても恥ずかしがり屋なんだ、それはきっと無理だろう」
女性「ネパール語も理解しない彼女の気持があなたに判るの?」
男性「彼女の仕草はすべてを語るのさ、ぼくにはそれが判るんだ。心配にはおよばないよ」
女性「そんなことより他の女性に目を向けなさいな、きっと素晴らしい出会いがあるわ」
そばにいたネパール人のスタッフが大受けしながらも内容を逐一教えてくれたが、理解の仕方によっては際どい内容もあり、自分を中心に延々と続くやりとりを聞くのはかなり照れくさいものがあった。どうやってオチがついたかも覚えていないくらい。ネパールの文化を垣間見たひと時と言えるが、いやーそれにしても恥ずかしかった。