最近になって歴史小説を読むようになった。ダッカ駐在半ばからなのでそれでも4年くらいになるだろうか。封建的な制度の残るネパールの生活と重なる部分も多く、停電中にろうそくの光で食事をしていたりすると、小説の1シーンになったような気がしなくも、なくもない。
<写真は2日前に撮ったもの、いつもは沢山の車が客待ちをしている場所>
小説になぞらえて言えば今のカトマンズの状況は「兵糧攻め」という言葉がぴったりか。経済、生活すべての面においてカトマンズ盆地の外からの資源に頼っている状況で、そしてそのほとんどが平野(タライ)から、ひいてはインドの供給であるという状況で、タライの多くの地域でゼネストが続いて石油製品、食糧などが入ってこないからだ。スタッフやニュースなどで聞くところによると、野菜やその他の食料が不足し始めているという。塩などを買い置きする人も増えているらしい。
ガソリン、ディーゼルの不足は本当に深刻だ。今朝カトマンズの北部に行こうとしたが、走っている車自体が少ない。自転車と乗り合いバスと徒歩を組み合わせて1時間かけてたどり着いた。帰りは屋根まで人が溢れているバスに無理やり乗せてもらった(屋根でなく車内に身を押し込んだ)。いつものことながらドアは開きっぱなし、危機管理の観点からは完全にアウトだなと思いながらも、座っている人に荷物をもってもらい、倒れそうな隣のおばさんを支えてあげながら事務所に戻った。混雑した車の中で痴漢が増えているという話も聞くが、こういう状況で乗客の間に奇妙な一体感が生まれ、助け合いの精神が大発揮されるネパールの社会は捨てたもんじゃないと思う。
タライでは既にゼネストが7日間続いている。5ヶ所では外出禁止令が出されている。日銭を稼いで生活している人もいるだろう、病気の人もいるだろう、小さな子どもを抱えている人もいるだろう。そこに暮らしている人々はどうしているのだろう。考えるだけで胸が痛くなる。