土曜日は休みなので、朝はゆっくりとすることが多い。仕事がなければ外出しないこともあるが、今日は野菜がなかったので、昼ごはんの食材購入も兼ねて買い物に出た。そのついでに新聞を買った。
日頃はあまり目にしない週末の新聞だが、時々眺めると面白くてどうしても目を通してしまうところがある。その一つが結婚相手募集のセクション。恐らく大抵の人はネパール語新聞に掲載しているのだろう、英字紙では1ページの3分の1程度しかないが、ここから「ネパール社会」が透けて見えると思うのは大げさだろうか。
Lagan Ganthoと題されたこの部分、ブラミン、チェットリなど属するカーストや、ネワール、タマン、リンブーなどと民族ごとに分かれている。そして、それぞれのセールポイントや相手に求める条件が掲載されており、結婚相手を探している人やその親にとっては非常に見やすい分類がされている。周りの人の様子を見ていると恋愛結婚も思ったより少なくないようだが、やはり結婚は親が決めるものという考えが一般的なネパールである。おそらく我が子の幸せな結婚を望んだ親が申し込んだろうなあ、と思わせるものも多く、とりわけ男性側からの掲載が多いのが興味深い。
どれを見ても必ず出てくるのは「美しく」「教育があり」「自分より若く」そして「理解のある」女性を求めていることだ。一体何を理解しろと言っているのかしら、と1人突っ込んでしまうが広告を掲載している方は至極真面目なのだろう。「結婚したら家庭に入り家事をすること」「家の年寄りの世話をすること」など、おいおいお手伝いさんを雇った方がいいんじゃないの、という酷いものもある。
一方、女性側からの条件で一貫しているのは「安定した(収入のある)仕事に就いていること」という1点に尽きる。
救われるのは持参金について少なくとも広告には何も書かれていないことだ。2年以上前になるが、仕事でスリランカに行ったことがある。日曜日の新聞はこの手の広告でちょっとした雑誌以上の厚みになっていた。スリランカはシンハラ人を中心とした仏教徒が多い国である。もともとヒンドゥ教徒の間から始まったと言われる持参金だが、彼の地では仏教徒を含めてものすごいことになっていたのに驚いた。土地、家付きは普通、ある親は娘と結婚してくれたら車も買うし、金も○○グラム(キロ単位だったかもしれない)持たせますと書いていた。そんなにまでして娘を結婚させたいのか、結婚させなくてはいけないのか、そんなに嫁※をもらうことは嫌なこと(もしくは負担)なのかと思って、同じ女性としてため息がでた。
誤解のないようにお願いしたいが、ネパールでもスリランカでも、バングラデシュでも、幸せな結婚生活を送っている人たちが多くいることを知っている。親が決めた結婚がいけないとも思っていないし、育った環境によって生活習慣が大きく異なるこれらの社会では、むしろ家柄や家族をあらかじめ知って結婚することが理にかなっている部分も大きいと思う。ただ、こういう制度が、女は美しく優しく、男は強く、というステレオタイプを再生してかつ補強していることはやはりいただけない。こんな事を感じるのは、私が微妙な年齢をとっくに超えてしまったからなのだろうか。
※使いたくない表現だが、実情を反映させるために使用した。お許しいただきたい。