ネパールの各地で活動する女性グループが地域別に作っている連盟(フェデレーション)が全国レベルのネットワークを結成するという会に参加してきた。森林共同管理、貯蓄融資、収入向上、保健衛生など、それぞれの女性グループが関わる分野は様々であるが、王制か共和政化、それに伴う憲法改正という国の体制について議論がなされているものの、女性の声がそこに反映されてこないことに対して危機感を持った村の女性たちが立ち上がったのである。
この全国組織ははネパール語で「ハムロ・ファラメ・ムティ(以下ファラメ・ムティ)」と名づけられた。日本語に訳すると「私たちの鉄のこぶし」とでもなるが、この名前を選んだ理由は、後で今回の会議は3日間、ファラメ・ムティの会則作成、執行委員の選出、今後の活動方針の決定が予定されていた。
WATCH (Women Acting together for Change)というネパールのNGOが資金支援と当日運営のサポートを行い、企画と当日の進行はすべて女性グループの女性たちが行っていた。まず、開会の挨拶、ファラメ・ムティ結成の理由、そして主賓の挨拶と続いた。壇上の主賓が10人以上おり、それらのスピーチを聞いているだけで3時間以上過ぎてしまった。興味を引く内容もなくはなかったが、ファラメ・ムティについて説明をしたディパ・タパさんの話は力がこもっていて思わず引きずりこまれた。
実は彼女とは8月に、ネパール西部の平野部にあるルパンデヒ郡で一度会っている。地元の女性グループの議事録や会計などの事務作業を手伝っているという説明だったが、その時は特に印象に残るようなところもなかった。しかし今回の彼女はまるで別人だった。
「数多くのNGOや国際NGOが、女性の地位向上という名目で大きなお金を投じてきたにも関わらず、私たち女性に対する抑圧や差別はまったく軽減されていません。だから私たちは自らのこぶしを高く掲げ、鉄の意志を持って立ち上がるのです」
ファラメ・ムティの名前の由来はディパが言った通りだ。100名を超える参加者の前で臆することなく話をする彼女を見ていたらじわじわと感動が広がってきた。なぜなら彼女の言葉には「命」があった、「力」があったからだ。お仕着せではなく、自分で考えたことを表現している彼女を見て、これこそが本当のエンパワメントだと感じたからだ。 そうでなければ、NGOや国際NGOの活動が自分たちの役に立ってこなかったという発言はありえない。いかにそれが事実だったとしても、だ。
カトマンズ事務所では、現在農村開発の新しいプロジェクトを作成するための準備を進めている。決まっている事の方が少ない状態で、これから一ふんばりどころか三ふんばりくらいしなくてはいけない。ディパの言葉を思い出しながら、虐げられた人たち、女性たちのためになる活動を考えていきたい。
※会場が暗すぎてうまくディパの写真が撮れなかった。彼女の様子をお見せできなくて残念です。