ネパール語の放送局にはネパールテレビ(NTV)、メトロ(NTV2)、カンティプールテレビの他、ケーブルを通じて配信されるイメージチャンネル、ネパールワンなどがある。ケーブルをつなげている我が家では、NHK,、BBC、CNNの他、インドの放送局多数を視聴することが出来る。こちらに来た当初はもっぱら英語のニュースとヒンディの音楽番組ばかりを見ていたが、ここしばらくベンガル語放送を見ることが多くなった。
ETV(バングラ)はコルカタを中心に放送されている局で、夜の時間帯はドラマが充実している。意地悪なおばさまたちにいじめられる薄幸の女性、そこに理解ある男性が現れこれですべて丸く収まるかと思うと、事態は急展開…。畳み掛けるように起きる出来事を、はらはらドキドキしながら、時には一緒に涙ぐみながら見ることもしばしば。メーグ(雲・女性の名)、ブリシュティ(雨・同じく女性の名)、アカシュ(空・男性の名)など、天候や自然にちなんだ名前が多く出てくるのも面白い。タイトルに「ココノメーグ・ココノブリシュティ」(ある時は曇り、ある時は雨)とついているものまである。
2年以上前のこと。シャプラニールの東京事務所がある早稲田奉仕園で、就学前のアジアからの留学生が日本語を学んでいた。その中にはバングラデシュの人たちも10数名もいて、私がベンガル語で話しかけたことから仲良くなり、昼休みなどおしゃべりをすることが多かった。台風が通過した翌日、歩くのも大変なくらい強い風が吹いていたある日のことだ。ベンガル人のある男性が「いやー、日本に来てこんなに良い日和は始めてだ。電車に乗らず一駅歩いて楽しんだよー」と言った。彼曰く「美しい風」が吹いているのだという。
会議など人が集まる場では、クーラーがガンガンに効いているような場所であってもファン(扇風機、特に天井についている特大のもの)は欠かせない。人一倍寒がりの私は上に羽織るものを用意していなければ、寒くて中座するするという羽目になるのもしばしば。(これはネパールでも経験済み)空気が動かないことに対して一種の嫌悪があるのではないかと思っている。そんな彼らだ、風には独特の美学があるのだろう。そんな先入観も手伝って、ドラマのテーマもさることながら登場人物や題名につい注目してしまう。
そのせいか、今日は会議中についベンガル語を口走ってしまった。「さあ終わりましょう」と言ったつもりが、みんなキョトンとしている。何回か繰り返した挙句、相手に「何語?」と指摘されて始めてベンガル語を話していたことに気がついた。ながら学習というのがあるが、ネパール語でもその効果が現れることを期待して、そろそろチャンネルを変えるとしましょうか。