家族の写真.jpg以前このブログでカトマンズ事務所スタッフのスリジャナに女の子が生まれたことを書いた。先日土曜日にシュバニと名づけられたこの子のお食い初めに招かれた。4ヶ月を過ぎるとお食い初めの儀式を行うそうだ。朝8時からのセレモニーは親族だけで行い、夕方5時から友人などを招いての会食をするという。8時から始まる第1部に誘われた時には、ちょっとひるんだが「なかなか見られないから」と言われ、すっかりその気になった。

<家族で記念写真。一番左とその隣がナラヤン・スリジャナ夫妻。シュバニを抱いているのはナラヤンの妹。>

スリジャナはネワール民族(カトマンズ盆地を中心に居住する、カトマンズ・パタン・バクタプールはそれぞれネワールの王朝であった)ではあるものの、ネパール西部のブトワールという町の出身である。従ってお食い初めに関しても、カトマンズ盆地のネワールとは細かいところは異なるらしいが、誕生から思春期、結婚、老年期、そして死までの間に多くの祭礼を行うネワールのそれに同席できるというのは貴重な経験だ。

ヒンドゥ寺院にて.jpgさて、若干(?)遅刻して私が到着したのは8時45分、スリジャナ自宅(マンション)の屋上にしつらえたヒンドゥの祠で皆がプジャ(お祈り)をしていたところだった。それから、お供物などを持って近くの寺院へ移動。ガネーシュの像にお供えものをし、線香を炊いた後、真鍮製の小皿に取った蜂蜜とヨーグルトを小さなスプーンで少量をすくってシュバニの口元へ。いきなり冷たくて味の濃いものを口に入れられたシュバニは、びっくりしてぐずりそうになっていた。記念すべき日を収めようとカメラ2台とビデオを使っていたのは、いずこも変わらないなと微笑ましく思った。

お食い初め一式.jpg自宅に戻り親族だけでのお食い初めの始まり。スリジャナの弟に抱っこされたシュバニに、親戚1人ずつがプジャを施し食べ物を食べさせるのだ。プジャはまずシュバニの足を清めるところから始まる。その水を自分の口と頭に振り掛けた後、足におでこをつける。(ネパールや南アジアでは相手に対して最上の敬意を表す行為)その後、赤い粉と米を混ぜたもの(ティカ)をシュバニのおでこにつける。続いて右手の指で黄色い粉、ヨーグルトなどをちょんちょんと着け、さらにシュバニのおでこに。その後ヨーグルト・蜂蜜、ギー(牛乳から作った油)を小さなスプーンですくってシュバニの口につける。最後に、ご飯、12だか14種だかのおかずを金のコインで救ってシュバニに食べさせ(る真似だけ)、プレゼントを渡して終了。親戚といっても20人以上集まっているので、これだけの事をやろうとするとかなりの時間がかかる。オシメを交換したりミルクを飲ませたりしながらのなんとものんびりした進行で、始まりから2時間くらいかかっただろうか。最後はシュバニは寝てしまっていた。

<お食い初めセット。これにおかずとご飯をもった大皿が加わる。>

その後、屋上にしつらえたテントで親戚揃っての昼食会を終え、シュバニじゃないが私もすっかり疲れてしまい一旦自宅に戻ることにした。

その後5時に再びスリジャナ宅へ。自分の手持ちの服の中ではパーティー仕様になっているサルワールクルタ(バングラデシュ製)を来て訪問。友人知人が順番にプレゼントを渡し、屋上で夕食を食べては解散。親族で行うセレモニーと比べると、パーティーはあっさりとしているのがネパール流。おしゃべりはしないのが食事のマナーであるここでは、みな黙々と食べており、食事が終わると三々五々帰っていくので私たちもそれに習って帰宅した。

私もお祝い.jpg この日一番活躍したのはスリジャナの夫の母、つまり義母さんだった。スリジャナは日頃から「伝統や格式には疎い」と自称しているだけあって、義母の指示に常に頼っていた。そんなスリジャナも子どもが成長するに従っていろいろな祭礼のやり方を学んでいくのだろう。こうやって伝統が受け継がれていくのだなあ、としみじみ感じたお食い初めであった。

<私も見よう見真似でプジャをさせてもらいましたが、疲れたシュバニはご機嫌ナナメでした>