こんにちは。クラフトリンクグループのインターンの北川です。
リレーブログのテーマは、「フェアトレード× 持続可能な開発目標 SDGs」です。持続可能な開発へのグローバルな取り組みとして国際連合(以下国連)が設定した「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、以下SDGs)」と「フェアトレード」はどのように関連しているのか、関連性の深い6項目をピックアップし、全6回でお届けします。
今回のキーワード「フェアトレード」
フェアトレードは、どのようにして「持続可能な開発目標」を達成できるのでしょうか。フェアトレードとは、公正な貿易(Fair Trade)を行うことです。社会的に立場の低い労働者が自立し、貧困から抜け出すことで、適正な賃金の支払いや労働環境の整備を目指す取り組みです。私たちは、このフェアトレードの理念に基づいた活動を40年以上行っています。この活動は、SDGsの達成に大きく貢献すると考えています。
【第5回】目標1「貧困をなくそう」
貧困には、捉え方として「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2種類があります。「絶対的貧困」は、生きていくのに必要な最低限の衣食住を満たすことができない人々。目標1では、その貧困ラインを「現在1日1.90ドル未満で生活する人々」と定義しています。「相対的貧困」は、国や地域の平均的な生活レベルよりも低い人々を指します。
しかしながら貧困は、お金だけの問題ではありません。「自分の持つ本当の力を十分に発揮できない」という意味も含まれています。そのため目標1は、「絶対的貧困」の人々が本当の力を発揮できるように、金融・医療・教育といったサービスの保証を提案しています。それらが実現している場合、「絶対的貧困」の人々は、不安な暮らしに悩むことなく、本当の力を十分に発揮できると考えられます。これらのサービスを得ることは、取り残された人々の当たり前の権利です。
「ターゲット1.4」では以下の内容が記されています。このターゲットの達成はフェアトレードで寄与できると思われます。
ターゲット1.4
2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
フェアトレードは、上記のような「社会的保護」を実現するため、途上国の貧困層と先進国の消費者が協力できる継続的な取引関係を求めています。
シャプラニールのフェアトレード活動
世界銀行の統計(2015年)によると、南アジア(インド、バングラデシュ)、サブサハラ・アフリカなどの人口の多い国に絶対的貧困層が多いとされています。クラフトリンクのパートナー生産団体は、南アジアに含まれるバングラデシュとネパールで活動しています。
そのような国々で、「ターゲット1.4」にある「平等な権利」が確保されていないと何が起きるのでしょうか。
例えとして銀行口座の作り方を挙げます。日本で口座を作るために必要なものは「身分証明書」「サイン(印鑑)」「必要な用紙への記入」などが思い浮かぶと思います。バングラデシュやネパールといった途上国では、市民証のような自身の身分を証明できるものを持っていない人々がいます。また、字を読めない・書けない人々もいるので、名前をサインしたり、用紙へ記入できないこともあります。同じように銀行でお金を借りるのにも、身分証明書や契約書類が読めることに加えて、お金を返す能力はあるかどうかも銀行に審査されます。
このように、何か新しい事を始めたくてもサービスが受けられない状態は、暮らしの不安が増すばかりで、思い通りに本当の力を発揮できる環境にはないと言えます。
クラフトリンクのパートナー生産団体では、所属する生産者のお金を代理で管理したり、読み書きできるように識字教育を行ったりと、サービスへアクセスできるようにサポートしています。
バングラデシュのパートナー生産団体「ジュート・ワークス」に所属する女性の生産者の一人は、「5000タカ」のローンを「ジュート・ワークス」から借りることができました。その時は雌鶏を5羽家畜として飼っていましたが、今後は豚を飼育用に買うかどうかを計画できるようになったそうです。彼女は「手工芸品の仕事を通じての収入は少ないけれども、福祉手当とローンが受けられるので助かっている」と話していました。この一例から、サービスを受けられることは、生活を前向きにとらえる力になると捉えられます。
クラフトリンクは今後も、パートナー生産団体とともに、金融・医療・教育といったサービスを提供し、生産者が「自分の持つ本当の力を十分に発揮」できる社会を目指します。
次回は、目標4「質の高い教育をみんなに」についてお届けします。
文: クラフトリンク インターン 北川諒