みなさま
新年あけましておめでとうございます。
シャプラニールの東京事務所は本日より業務を開始しています。海外の各事務所は日本のような年末年始休暇はなく、通常通り。1月3日には、バングラデシュで実施しているサイクロン防災事業の活動地域から、日本の防災の取り組みを学ぶため視察研修の一行が来日し、関西で研修を行っています。
シャプラニールが45周年を迎えた2017年を振り返ると、通常実施しているプロジェクト以外に、南アジア全体で例年を超える規模の洪水被害が発生したため緊急救援活動を実施したほか、8月以降に急激に増加した、ミャンマーからバングラデシュへのロヒンギャ難民に対する生活支援を行うなど、目まぐるしい一年となりました。
日本のNGOの間では、「市民活動スペースの縮小」というフレーズがよく使われ、特定秘密保護法やいわゆる共謀罪法の成立等により市民活動に制約が生じる事態に対し、強い懸念が示され、様々な議論が行われています。海外の私たちの活動対象国でも、現地政府からのNGOに対する締め付け傾向に拍車がかかり、年々活動の自由度が奪われつつあります。
国連のグテーレス事務総長が新年のあいさつで、「非常事態を警告する」という強い言葉を用い、核戦争の脅威、人権侵害やナショナリズムの台頭などにより世界平和が大きく脅かされている現状に警鐘を鳴らしました。この刺激的なニュースを聞いて、改めて自分たちが置かれた状況について考えされられた方も多かったのではないでしょうか。
このような状況の中、市民社会組織の一端を担うNGOとして、私たちは何を考えどう行動すべきなのか、常に問われているのだと思います。
シャプラニールは2016年に策定した中期ビジョンで、自分たちの活動を通して「貧困のない社会をめざす」のだということを、改めて確認しました。そのために、災害に強い地域づくりや子どもたちの権利を守るための取り組み、フェアトレードを通じた共生の実現に力を入れています。こうした取り組みによりそれぞれの地域や社会が少しずつ変化していくことが、貧困のない平和な社会づくりの基盤になると信じています。
2018年度は、中期ビジョンを元に定めた中期計画の仕上げの年となります。それぞれの活動の目標を達成できるよう、現地の人々と共に歩みを進めたいと考えています。また、私たちの活動の前提である市民活動の領域が狭められる可能性があるとしたら、市民社会組織の一員として、そうした状況に対し声を上げていかなければなりません。
草の根の取り組みを着実に進めながら、私たちが目指す社会を実現するために必要な”発信”を心がける。そして「市民による海外協力の会」として、様々な場面でより多くのみなさまにご参加いただける場を作っていきたいと考えています。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2018年1月5日
事務局長 小松豊明