みなさま 年末のごあいさつを申し上げます。
年初から国際情勢が大きく動き、波状的に社会不安が世界に拡がった一年でした。経済状況もドル円レートが乱高下や物価高の中で、多くの国際協力NGOは財政的に厳しい判断を迫られました。感染状況も政策の揺らぎもあってか感染者数は減っていません。隣国中国の感染爆発も気になります。
国際協力に関する動きとしては、安全保障の関連文書の閣議決定や「開発協力大綱」の改定など、市民社会としてそのままでは受け容れられない内容で進められようとしています。いずれも注視し発言していく必要があります。
さて、バングラデシュ、ネパールでの事業は感染による制約は昨年ほどではなくなったこともあって現地への出張も可能になり、終了する事業の評価作業や新たに始める事業の議論も活発となっています。フェアトレード事業(クラフトリンク)は、多くの市民参画を呼び掛けるべく、学園祭やバザー、マルシェ、店舗などで販売協力をしていただくクラフトリンクパートナー制度で多くの協力者を得ました。
また、昨年より始まった国内の在住外国人支援も事業地を新宿区内として、フードパントリー(食料配給)に加えて、地域住民との交流の場づくりをすべく地域の関係団体との関係構築に努めています。
折しも今年はシャプラニール創立50周年。バングラデシュ、ネパール、日本でさまざまな記念事業を実施し、多くの方からあたたかくかつ示唆に富んだメッセージをいただきました。上記のように地球社会全体の行く末が危ぶまれている中、50周年にあたって市民社会組織として掲げた新たな役割「市民の力とつながりで、すべての人びとがもつ豊かな可能性が開花する社会をつくる」ことを果たしていくべく、あらためて思いを強くしているところです。
直近の会報でインタビューに応えていただいた「人新世の『資本論』」の著者である斎藤幸平さんの「単に先進国から途上国への開発援助で助けてあげる、という関係性ではなく、対等な関係を築き、途上国の人々から学びながら運動をつくっていく、という流れが必要」という言葉は、この時代にあって国を越えた市民同士の相互協力というシャプラニールの取り組みに合致するところだと思います。
最後に恒例となりますが、年末年始は継続的にご支援いただくマンスリーサポーター募集キャンペーンや不要なはがき・切手の寄付を集める「あなたのはがきが、だれかのたに。キャンペーン」も実施しています。どなたでも参加いただける活動です。ぜひご参画ください。
51年目を迎えるシャプラニールをどうぞよろしくお願いします。
代表理事 坂口和隆