今日、日本最大のイスラム教モスクと言われる「東京ジャーミイ」を訪問し、イスラム教への理解を深めるための企画「モスクへ行こう!」を行い、約50人が参加しました。東京ジャーミイの広報担当・下山さんからお話を伺い、礼拝の様子も見せていただくなど貴重な機会となりました。
下山さんのお話で印象的だったことをいくつか紹介します。
・イスラム教徒は世界におよそ16億人いると言われ(キリスト教は20億)、世界宗教の一つとなっている。「砂漠の宗教」「アラブの宗教」というイメージがあるが、イスラム教徒の多い国上位5カ国(インドネシア、パキスタン、バングラデシュ、インド、ナイジェリア)の中にアラブ諸国は入っていない。
・明治以降、日本はヨーロッパを向いて西洋化を進めた結果、ヨーロッパの偏向的なイスラム観が入ってきた。「イスラム過激派」という言い方がマスコミを通じて浸透しているが、例えばIRAを指して「キリスト教過激派」とは言わなかったはず。
・イスラム教は宗教を強制しない。「コーランか剣か」と改宗を迫るイメージがあるが、それは間違い。
・イスラム教には権威主義というものがない。教皇もいないし、モスク間の上下関係はない。また、モスクには国はもちろんシーア派やスンニ派などの区別はなく、誰が来ても構わない。
・イスラム教は分かち合いの宗教であり、持てる者は神に寄付を捧げ、神が持たざる者へ分配するという考え方。
参加者からは、「直接こうしてイスラム教徒の方から話を聴く機会はなかなかないので、とても勉強になった」「周りにも興味を持つ人がいると思うので、自分がきいたことを周囲の人たちへ伝えていくことが大切だと思う」といった声がありました。
最後に、イスラム国による邦人殺害事件等の悲しい出来事を受けて、下山さんが想いを語ってくださいました。「イスラムがテロの宗教とは考えて欲しくないのです。暴力の連鎖が止まない地域が世界各地にありますが、いずれもイスラムが始めた争いではありません(アフガニスタンのソビエト侵攻、バレスチナでのイスラエル建国 など)。パレスチナ難民が石を拾ってイスラエル兵士へ投げつける様子がテレビによく映し出されます。それを’テロ’と言うでしょうか。私は抑圧された人々が権利を回復するための抵抗運動(レジスタンス)だと考えています。世界は西洋的な価値観だけで動いているわけではないのだということをわかって欲しいと思います。暴力と憎しみの連鎖が止まることを祈っています。私はイスラム教への偏見を取り払うためにこれからも力を尽くしたいと思います」