こんにちは!国内活動グループインターンの浅野です!
先日、5月17日(日)に2回目の『オンライン講座シャプラバ!NGO駐在員3人に“ネパールの今”を聞く』を開催し、私も参加したので、その様子と感じたことを少し報告させて頂きます!
当日の動画はこちらからご覧いただけます。
今回は私たちシャプラニールからはネパール事務所長の勝井が登壇し、シャンティ国際ボランティア会からはネパール事務所長の三宅さん、そしてピースウィンズ・ジャパンからはネパール事業現地事業責任者の山本さんに登壇して頂き、活動の様子、そして、コロナウイルスの影響やその対応について、伝えて頂きました。
率直な感想としては、どの地域、そして団体も、ロックダウンにより本来の活動や物資の移動が制限される中で、現状を把握しながら、もともとの活動や支援の形にこだわらず、今できることをやっているんだなという印象でした。
まずシャプラニールとしては、先日、5月2日にお伝えしたネパールの支援地の現状の更新が主でした。(前回のシャプラバはこちら)
前回はまだ2桁の感染者数だったネパールも、5月17日時点で3桁の291人となり、引き続き、アライバルビザ停止、全国際線停止、ロックダウン(食糧品、薬品や病院のための外出以外は禁止)、そしてインド国境の封鎖は続いているようですが、5月8日からは一部経済活動の再開も見られたようです。一方で、経済活動再開による緩みも懸念され、改めて厳しく取締る様子も見られているとのことです。
また、支援地のマディ市では、首都カトマンズで働いていて帰ってきた労働者など、困窮者に向けた緊急支援が、市や警察、赤十字を中心に打ち出されていて、シャプラニールも資金面で援助しています。さらに、困窮している家族やストリートチルドレンへの支援も行なっていく予定だということでした。
続いて、シャンティ国際ボランティア会からもコロナウイルスへの対応と活動の進捗についてお話がありました。シャンティ国際ボランティア会は、2015年の地震の災害に対する支援から始まり、2017年には、その被災地の一つであったヌワコット郡での支援が始まり、今も学校の建設中ですが、コロナウイルスの影響で滞ってしまっているとのことです。
一方で、保健局からの支援要請に応える形で、提携団体と医療従事者に対して感染予防具や体温計などをカトマンズで購入し、移動の許可を得て保健局と5自治体に届けたそうです。
子どもの教育に関してもお話がありましたが、通常4月13日から新学期がスタートする予定だった学校は再開の目処が立っておらず、一部の私立はオンラインでの授業も試みているようですが、オンラインの環境が整っている生徒はごく一部で、ますます教育格差が開いてしまいそうだということです。
また学校は67%が隔離施設として使われていて、ロックダウンが解除されたあともすぐの再開が難しいという状況で、なんらかの対策が必要だということでした。教育クラスターからのおよそ15億円の支援金を活用して、一番普及率が高いケータイ(国内85%、パソコンは8%)を使ったラジオ番組による教育はどうかという話が出ているそうです。一方で、教科書の配布が課題となっていたり、将来の進路を大きく左右する全国統一試験の在り方についても従来の制度の見直しの必要性が浮き彫りになってきているようです。
ピースウインズ・ジャパンからも、活動内容と、コロナウイルスによる影響に関する話がありました。もともとは、やはり2015年の震災後の支援活動から始まっていて、給水アクセス確保のための給水施設設置や、収入向上のための農業支援をしており、シンドゥパルチョーク郡という中山間部で活動しているそうです。
今回は農業支援について特に詳しくお話を聞くことができましたが、単価が低いとうもろこしやあわに代わって、収穫量が多く単価も高い野菜の生産を強化することで収入の向上を目指していて、そのための技術支援や野菜を売るための集荷場の設置に取り組み、現地の人だけでも野菜を育てられるようになってきているとのことでした。
このコロナウイルスの影響下でも、生産は続いているようですが、次のシーズンへの準備が、種や肥料、害虫対策に必要な農資材が届かないためにできていないということで、ピースウィンズ・ジャパンが、移動の許可証を、政府の混乱もある中なんとか手配し、資材を届けることができたということです。しかし、公共交通機関を利用して野菜を運んでいたところや、ホテルやお店に卸していたところへの影響は少なからずあり、作っても売れない農作物も出てしまっているというお話でした。
いろいろなお話があり、なかなか人々の生活等厳しい状況も続いているということもわかりましたが、純粋なコロナへの恐怖心が強いことや、今まで内戦や地震に耐えてきた我慢強さのおかげか、暴動などは起きていないということや、この自粛で空気がきれいになり、普段はPM2.5などによる大気汚染で見えなかったヒマラヤが、見えるようになったという印象的なお話も聞くことができ、悪いことばかりではないと信じて、今できることをやることが大切だなと、思いました。
また、いろいろなお話を聞く中で、政府や自治体が対応できるところにも限界があると感じたので、特に地方の、支援が行き届きにくい地域では、日本の支援団体が現地NGOとうまく協力しながら、もともとの支援の分野に関わらず、食糧支援やラジオを使った教育など、必要とされる支援を考えて行動していくことが求められているのかなと思いました。
また、参加者の方から寄せられたコメントの中にも、自粛が終わった後の活動でどのようなことを気をつけなければいけないか想定する必要があるといったことが寄せられていたように、今厳しい状態にある人の支援に加えて、今後、すぐにもとの生活に戻れないことも考えた上で、持続的にできる支援を考えていく必要があると感じました。
リアルタイムで現地から情報を得ることができて良かったという声もありましたが、やはりNGOにとって、情報発信というのは大事な使命だと、改めて気づきました。
今後も情報の更新、そして現地の声をそのままお届けする機会を作っていけたらと思います。
国内活動グループインターン 浅野