中学生・高校生を対象に、毎年夏に行っている合宿型イベントのユースフォーラム。今年はCOVID-19の感染拡大に伴い、初のオンライン開催となりました。 8/17~8/21までの4日間で様々なワークショップを行い、26人の高校生が12人の大学生ボランティアと共に国際協力について理解を深め、自分たちにできることを考えました。
このイベントは毎年大学生を中心とするユースチームが企画、運営をしています。2020年3月には高校生と大学生を対象にした2泊3日のザ・フォーラムを予定していましたが、COVID-19の影響で直前で中止に。半年間かけて準備をしてきた学生たちは悔しい思いを抱えたまま、夏の企画の準備を始めました。 この先どのような状況になるかわからない中、何度も議論を重ね、「3月の時のような悔しい思いをしたくない」「初めての挑戦になるけど、オンラインでの開催を目指したい」「オンラインでもできるということを証明したい!」というメンバーの強い意志で、今回のオンライン開催が実現しました。 「これもできない」「あれもできない」ではなく、今の状況でできることを模索しようという前向きな姿勢がとても頼もしく、スタッフとして勇気づけられました。
今回のユースフォーラムはオンライン開催ということもあり、開会式と閉会式のほか、1日1つのワークショップ、合計4つのワークショップを行いました。
1日目:援助について考えるワークショップ
ある外国の村を訪れたとき、「お金がなくて困っている小学校に寄付をしてください」と書かれた看板を見つけます。看板と村の状況が書かれた資料を見て自分は募金をするか、しないか。その理由はなぜなのか、そしてより良い活動にするにはどうしたらいいか考えました。このワークを通じて、支援のあり方、支援や援助とはなんなのか、ということを考えました。 ※このワークショップは開発教育協会DEARの教材を参考にしています。
参加者の声 ・募金をする時は、その募金の使い道や団体のことについても知る必要があると思った 。 ・支援の方法に正解はないことを知った。相手のニーズをきちんと知ることが大切だと思う。
2日目:世界の貧困について考えるワーク
いくつか提示されたキーワードで貧困の連鎖について考え、どうしたら連鎖を断ち切れるのか議論しました。ワークを通じて、世界の貧困問題は様々な要因が重なり合っていることを知り、なぜ貧困が起こるのか、どうしたら解決できるのかを考えました。
参加者の声 ・連鎖を断ち切るポイントがグループごとに全然違ってびっくりした。 ・どんな出来事も様々な要因の連鎖によってできていると感じた。 ・「働く場所があること」が一番大事だと思った 。
3日目:児童労働について考えるワーク
グループごとに、ある農村部に住む11歳の女の子を家事使用人として働きに出すかどうかを話し合いました。役割は少女、父親、母親、仲介人、雇用主、小学校の校長。少女とその周辺の人々の考えや思いを知ることで、複雑な児童労働の背景について考えました。最後は元ユース出身者で、「わたし8歳、職業、家事使用人」の著者でもある日下部氏から家事使用人として働く少女の現状やその背景等を聞き、学びを深めました。 ※この教材はシャプラニールが作成した開発教材です。こちらよりダウンロードいただけます。
参加者の声 ・今まで子どもを雇う側の気持ちを考えたことはなかったから、新たな視点だった 。 ・みんなが少女のことを想っているからこそ、難しい問題だと感じた。 ・個人的には児童労働は反対だが、役を演じているときは「少女を働きだす」選択を選んだ。ロールプレイをすることで、現実と理想の差を体感した。
4日目:難民について知るワーク
自分が突然難民になったとき、限られた物の中で何を持っていくか。「持ち物」をきっかけに難民の気持ちを考えるワークショップと、受け入れ国として難民の受入に賛成か反対かといった議論をしました。元ユースチーム出身で、現在南スーダンで仕事をする武田さんからの講演もあり、今自分たちに何ができるかを考えました。
参加者の声 ・それぞれの立場でそれぞれの意見がある。その中で自分に何ができるか考えたい。 ・みんな同じ世界に生きているのだから、すべての人が安全に暮らせるよう難民の受入は積極的にするべきだと思った。
オンラインでやることで、議論が盛り上がらなかったらどうしよう…そんな不安もありましたが、実際は合宿時と同じくらい議論は活発に。ユースチームが作り出す、学校や年齢、バックグラウンドなどを気にせず、自由に発言できる雰囲気作りはさすがです。 どのワークショップでも参加者の皆さんは積極的に発言し、他の人の意見に耳を傾け、学びを深めていました。参加してくれた高校生の皆さん、本当にありがとうございます。そしていつも以上に時間をかけ、丁寧に準備を進めてきたユースチームの皆さん、本当にお疲れ様でした。
終わった後の反省会では恒例の?実行委員長の涙。そんな実行委員の大学生たちの姿や同じ関心事を持つ仲間に出会い、意見を交わした後の充実した参加者の表情を見て、改めてユースフォーラムの意義、そして20年以上に渡り続いてきたこのイベントの醍醐味を感じました。 「でもやっぱり、みんなでご飯を食べて、夜まで語れる合宿型でもやりたいね」という声も実行委員からは多く聞かれました。そんな機会が近い未来にまた訪れることを願って、これからもユースチームの活動を全力でサポートしていきたいと思います。 国内活動グループ 京井杏奈
----------------------------------- 【参加者からの感想】 ・学校ではこういった話題では話さないので、皆さんと深くお話ができて良かったです。オンラインだからこそ島根からも参加できました。知らないことをたくさん学べて、仲間にも出会えて嬉しかったです。(高校1年) ・得られたことは知識だけでなく、問題を多角的に見る事の重要性と、その難しさを知ったことです。だからこそ考え、コミュニケーションを取り続けることが大切であり、問題の渦中にいる人々とも連携する必要があるのだと再認識しました。とても楽しかったです!ありがとうございました。(高校3年) ・皆さんの様々な意見を聞く中で、国際協力における支援のあり方は1つじゃないんだと気づくことができました。そして、皆が向ける視点にそこ!と驚かされることがあり、皆の鋭さに感心し、自分の未熟さを痛感しました。今回のワークで学んだことを、沢山の人に伝え、1人でも多くの人が国際協力に関心を持ち、より良い社会・世界づくりの1歩となるよう伝えていきたいです。(高校3年) ・自粛続きで、周りの人とあまり話せない状況が続いていましたが、今回、国際協力についても、その他雑談などもたくさん話すことができ、そういった意味でも楽しい時間でした。(高校1年)