8月14日、15日で「Youth Forum2021~今こそ考える国際協力~」を開催しました。
このイベントは、シャプラニールのボランティアグループ「ユース・チーム」が企画する中学生、高校生のためのイベントで、国際協力について考えることを目的にしています。
例年合宿型で開催していますが、COVID-19感染拡大を考慮し、今回は日帰り2日間での実施となりました。
3泊4日の合宿型で実施していた時よりも時間的な制約が大きい中、短い時間でいかに学びの多い時間を作れるか、実行委員の大学生が数カ月に渡って試行錯誤して企画を作り上げました。
当日は16名の中高生と15名の大学生がワークショップを通じて、貧困や児童労働などについて考え、議論しました。
夏休み真っただ中の開催となりましたが、COVID-19感染拡大の影響で、様々な活動が制限されていたと思います。そんな中、参加者同士が学び合い、刺激し合い、地球のことや未来のことを考える時間にできたことを嬉しく思います。今回はイベントの様子を報告いたします。
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【ワークショップ】支援するってどういうこと?
ある外国の村を訪れたとき、「お金がなくて困っている小学校に寄付をしてください」と書かれた看板を見つけます。看板と村の状況が書かれた資料を見て自分は募金をするか、しないか。その理由はなぜなのか、そしてより良い活動にするにはどうしたらいいか考えました。
その後、さらにこの村を発展させるためには何が最も必要か、「教育、医療、衛生、情報(インターネット)、インフラ、政治、技術、人権、その他」を優先順位の高い順に並べるワークを行いました。
※このワークショップは開発教育協会DEARの教材を参考にしています。
参加者の感想
・善意でやっていることも、相手にとっては必ずしも良いことではないこともある。善意の押し付けにならないように、慎重に行う必要があることを学んだ。
・何を優先すべきか、取捨選択がとても大変だった。
・自分にとっては一番重要だと思うことが他の人には第一優先でなかったり、価値観の違いがあって難しいなと感じた。
・普段何気なく見かける募金も、実際にどこにどのように使われるのかに目を向けると、その募金は一時的にしか役に立たないこともあるということが印象的だった。
【ワークショップ】異文化理解
1つのグループが国となり、国ごとに「王様」や「貴族」、「お坊さん」、「平民」といった役に分かれます。それぞれのグループでは”国の習慣”としてそれぞれのルールが提示され、そのルールを守らなければなりません。自国とは違うルールを持つ国との交流を通じて、言語や文化が違う環境で、どうやったらお互いの違いを認め合えるか、当たり前ってなんだろう、そんなことを楽しみながら体験しました。
参加者の感想
・他の国の文化に戸惑い、とても大変だったのが印象的だった。
・他の国の日々の生活から、その国の文化を感じ取り知ることは、将来国際交流をするときに役立つと思う。
【ワークショップ】児童労働について考える
グループごとに、ある農村部に住む11歳の女の子を家事使用人として働きに出すかどうかを話し合いました。役割は少女、父親、母親、仲介人、雇用主、小学校の校長。ロールプレイを通じて子どもたちを取り巻く状況を体験し、それぞれの人の考えや思いを知ることで、複雑な児童労働の背景について学びました。
※この教材はシャプラニールが作成した開発教材です。こちらよりダウンロードいただけます。
参加者の感想
・それぞれの立場の意見を理解できるからこそ、難しさを感じた。今回はみんなで熱い話し合いができたが、現実にはそのような機会すらないのかもしれない。
・一人の女の子が働きに出るのには様々な意見や思いがあり、それぞれ役の視点から児童労働という課題を見ることで、本当に難しい問題だと感じた。
・実際のその状況に置かれないとわからないことはたくさんある。その疑似体験ができてよかった。
【対談】国際協力への関わり方を考える
「国際協力」を仕事にしたい!そんな時に思い浮かべるのは国連、NGOなどかもしれませんが、他にもたくさんの選択肢があります。今回はビジネスとして社会課題解決に取り組むマザーハウスの社員の方をゲストでお迎えし、大学で国際協力論、開発学を専門としている教授との対談を行いました。最後にはマザーハウスの商品をSNSで発信するとしたら…?SNS用の投稿画像作りも行いました。
参加者の感想
・国際協力という大きなテーマの中で、必要なことや様々な道について知れた。
・国際協力に対する視野が広がった。
・今までは寄付をしたりNGO職員になったりすることだけが国際協力だと思っていたけど、モノづくりや伝えることなど、身近にできる協力の方法があることを知った。
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2日目のまとめのワークでは、Youthforumの感想を漢字一文字で表し、一人ずつ発表しました。いくつかご紹介します。
「多」
色々なワークを通じて、多くの方と多方向から意見を出し合い、多くのことを吸収できた。学んだ経験を活かして、将来社会のためにアクションを起こしたい。
「深」
国際協力は日常生活に関わっていて、身近でだれもができるということを学んだ。難しい現状もあるけど、衣食住を通して、今私たちができることを行動に移していきたい。
「求」
様々なワークを通じて、多角的に国際協力について考えることができた。将来どのような職に就き、生きていくかわからないけど、どの道を選んだとしても、他者や物事に常に関心を持ち、学び続けたいと強く思った。
「生」
私たちがマジョリティの立場で生きる上で考えるべきこと、そして取り残された人々が安心して生きるために私たちが取るべき行動、立場によって変わる「生きる」の意味について考えさせられた。
「自」
「相手自身についてよく知る」、「自分事として考える」、「自分から行動する」ということを学んだ。
ここで止まることなく、日々の生活の中で意識し、少しずつ自分を変えていきたい。
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限られた時間ではありましたが、参加者一人ひとりが世界の課題に向き合い、今の自分にできることを考える姿がとても印象的でした。それぞれが少なからずCOVID-19の影響を受ける中、世界に目を向け、想像力を働かせ、自分事として考える参加者に大きな希望を感じました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。また試行錯誤しながら準備を進めてきたユースチームのメンバー、本当にお疲れ様でした。
国内活動グループ 京井杏奈