「ネパールスタディツアーに参加して感じたこと」
不謹慎ですが、正直、もっと大変な状況が目の前にあると思っていました。
とはいえ、アーユルヴェーダ・ソープ 「 She with Shaplaneer 」を作るグリ村の生産者ドゥルガさんたちの状況、立場、環境それは日本と比べて、決して楽なものとは言えません。立派な家がある訳ではない。家財も必要最低限のものしかありません。
石鹸工場で働く女性の家に伺いました。
「私は13枚の服をもっているの」と笑顔で教えてもらいました。その質素な生活の中に、ひたむきで大きな力を強く感じたのです。その笑顔の根底にあるのは置かれているこの環境や回りの人々に「今を感謝をする心」なのではないかと感じました。
グリ村を去る日、石鹸作りを主宰しているドゥルガさんに、「これからの夢はなんですか?」と質問しました。彼女は「工場をきれいにして、自分と同じ立場の人間の仕事、糧を得る場を広げたい。」と答えてくれました。また自分自信についての夢は?という質問には、「私は満足している。子供達を学校にやることが出来たから。」という答えでした。誰かと比べない。心の底から利他の心がこの方達の心に満ちていました。
ツアー途中で、みんなで毎晩、議論しました。ある方から「こんなに遠いところのものを買う事で経済的な援助となるのだろうか?」という問いかけ。確かにそういう視点から考えるとその通りだと感じるこの遠さ。日本までの移動時間にすると飛行機を途中使ってもざっと2日はかかります。今回、それを身体で感じることも大きな成果でした。その上でいろんな事を深く考える事が出来たのだと思っています。
距離を越え、世界はつながっていること。つながりで生きていること。そこでこの石けんは単なる石けんではなくこの女性たちの労働、生活のすべてが込められていること。彼女達は正当な価格で買ってもらうために、期待を越える価値をと努力を続けています。それは昔の日本にもたくさん見られたことではないでしょうか。
(もしかしたらここは昔の日本、そのものではないのかと感じた瞬間がたくさんありました。)
日本が経済的に成長してしまった事で忘れてしまったもの。この遠い地の村に、足りないからこそ、大切にされるもの。人の幸せとは、幸せを感じる心とは何だろうという問いかけがこのツアー中、ずっと頭の中でくり返し考えたことでした。
答えはないのかもしれません。どっちが良い悪いもなく、ただバランスの良い世界が訪れることを、みな等しく学び、求めて分かち合う世界がくることを望まずにはいられれませんでした。
そう思いを深めた場所が偶然、最終日訪れた釈迦生誕の地、ルンビニ。日本にもゆかりの深いこの地、そしてその国ネパール。遠い歴史を創造しながら、ここに来なければ、受けることのなかった風景、風や砂埃、人々や鳥、羊や牛にふれ、改めて「生きること」、そして「生きるために大切なこと」「本当の豊かさ」をもっと謙虚考え、学びたいという思いが心の中で膨らんで行きました。きっと日本にいて、考えることもなかったと思っています。大切な気づきを頂いたツアーの仲間、シャプラニールの皆さんネパールの人々に感謝しています。
<プロフィール>
有村正一(ありむらしょういち)
株式会社budori 代表
事業家・プロデューサー。「仕事」とはなにかを模索しながら高校卒業後、ブーランジェ、リクルートでの求人営業・編集、デベロッパーでの企画、大手建材メーカーでの企画・商品開発・広報、上場企業のIR担当役員など様々なジャンルの仕事に挑戦する。国内外で環境共生の商品開発や啓蒙、様々なWebプロモーションで実績を上げる。
世の中の課題を解決すること、良い仕事をつくりだすことを目的とした株式会社budori(ブドリ)を2007年に設立。現在、事業開発、プロモーションを手がけるとともに「愉しい×しごと=たのしごと」をテーマに事業起案、開発のサポートを行う。地域支援商品の企画、離島の商品開発など「問題点」を事業者と双方で考え、思いを重ねた商品開発やブランディング、デザイン企画、Webを活用した販売促進を推進する。著書に藤村靖之氏との共著「非電化の夕べ」。スタッフとフェアトレードをテーマに起案した「とりがおしえてくれたこと」がある。
<シャプラニールとの関わり>
愛地球博 ボランティアリーダーの際、案内先であった地球市民村で初めてシャプラニールの活動を知る。
起業した2007年、シャプラニールの会員になりフェアトレード、エコ商品のWebセレクトショップにてシャプラニールのフェアトレード商品を扱いを開始。フェアトレードの現場を伝えるシャプラニールとのコラボレーションイベントたのしごトーク 母の日スペシャル〜フェアトレードの現場から「しごと」×「希望」のつくりかた〜を開催。本当の豊かさとはをテーマに 「海外協力のつどい」オープニングセッションのファシリテーターを務める。
この記事の情報は2016年10月22日時点です。