スタッフの想い
東京事務所・バングラデシュ事務所・ネパール事務所では約40名の職員が働いています。
国際協力NGOの職員が今、考えていることを語ります。
「好き」からつながった世界
コミュニケーショングループ 広報担当
下鳥舞佳(しもとり・まいか)
国境を越えたはじめの一歩
子どもの頃から絵を描いたり何かをつくったりするのが好きで、その気持ちのまま美術大学に進学しました。当時の私にとって、自分の手の届く範囲だけが世界で、それ以外はただのテレビの中の情報。国際協力はおろか外国で起きていることほとんどに興味がありませんでした。そんな世界が一変したのは、大学二年生の春。学科の教授が主催したインドネシアで現地の学生と一緒に行うワークショップに参加したことがきっかけでした。言葉もわからない中でたくさんのことを共有した二週間、「言葉の通じない外国の人」は「かけがえのない友人たち」になり、一気にテレビの中のできごとが自分ごとに変わった感覚がありました。そこから、異文化で育った人たちから受ける、心地のよい、ときにびりっと痺れる刺激にどハマりしてしまい、その後は好奇心の赴くままにバックパックを持って飛行機に乗り、いろんな人たちに会いに行きました。
「大好きになった国々とのかかわりを仕事にできたら最高なんじゃないか」そんな思いを抱き始めたのが大学四年生の頃。ただ、現地の人から何かを搾取するような一方的なビジネスはしたくない、じゃあ大好きな国との一番いいかかわり方ってなんだろうと考える中で出てきたのが国際協力の道でした。
自分なりにめざした国際協力の道
進みたい方向は決まったけれど、国際協力についての知識もないし周りに聞ける人もいない、どこから歩き始めればいいのか……。もやもやの中で、とりあえず自分が学んできた「デザイン」や「何かをつくる」力でできることをやってみようと国際協力団体のインターンやアルバイトの求人を探し、片っ端から応募。結局、残りの学生生活でたくさんの活動にかかわることになりました。実際に支援現場を見に行ったり、大きなプロジェクトを任せてもらえたり、自分が執筆したSNS投稿に共感した方から高額の寄付が届いたり……。個人的な「好き」の気持ちで始めたことでしたが、だんだんとわずかでも遠い国の誰かとの助け合いの輪に入れたようなそんな気持ちになっていき、「国際協力を仕事にする」ことがいつしか私の夢になっていました。
そして、大学卒業後、学生時代のつながりからミャンマーの自立支援を行う団体に就職、その後、日本・ネパールでの日本語教師の仕事を経て、今、「同じ市民の立場から」活動を続けるシャプラニールにたどり着きました。曲がりくねってはいましたが、一本道をまっすぐ歩いてきたと自分では感じています。
誰かの一歩目をつくれるように
広報担当として入職して3年、まだまだひよっこですが、活動をわかりやすく、より多くの人に興味をもってもらえるような魅力的な表現を日々模索しています。最近、自分がネパールで日本語を教えていた学生や外国出身の友人たちにシャプラニールのイベントに登壇してもらうことが度々ありました。「こんな経験をさせてくれてありがとう」なんて言われるけど、この場にたどり着くまでにたくさんの機会と気づきをもらったのは私の方です。出会いと経験を物々交換のように繰り返して、今ようやく大好きな国との一番いいかかわり方を見つけられているような気がします。
1月にシャプラニールの公式Xでイエティのマスコットがかわいい!と大きく拡散されましたが、それを見てボランティアにきてくださった方が何名かいらっしゃいました。国際協力は「何かしなきゃ」という問題意識から始まるものだと思う方も多いかもしれません。でも入口はもっとたくさんあっていいと思います。私の世界がそうして広がっていったように、誰かにとってシャプラニールが国際協力に一歩を踏み出すきっかけとなれるように、もっともっと活動や活動国の魅力を知って大好きになってもらえるように。正しく、わかりやすく、そして面白さも忘れずに、発信し続けていきたいです。
PROFILE
下鳥舞佳
美術大学を卒業後、ミャンマーの自立支援の団体、日本・ネパールでの日本語教師の仕事を経て、2021年にシャプラニール入職。広報担当として、ウェブサイト、SNS運用を行うほか、イエティのLINEスタンプ等広報物も制作。
会報「南の風」304号掲載(2024年6月発行)