2017年8月下旬以降、ミャンマー政府治安部隊による掃討作戦の影響を受け、多くのロヒンギャの人々が難民となり隣国バングラデシュへ逃れました。その数は現在60万人を超え、それ以前からバングラデシュ国内のキャンプに滞在していた人々と合わせると、バングラデシュ国内のロヒンギャ難民の数は約100万人に上ると言われています。

この緊急事態を受け、シャプラニールからは事務局次長の藤﨑文子を2017年9月下旬~10月上旬にかけて2回、現地に派遣しました。藤﨑事務局次長は大勢のロヒンギャ難民が流入しているバングラデシュのコックスバザールを訪問し、キャンプの状況確認や支援状況の情報収集を行いました。バングラデシュ政府が整備をした避難民キャンプでは、政府、国連機関、NGOなどが食料や生活用品などの配布支援を実施していますが、清潔な水やトイレ、衣料、住居、医療サービス等生活に必要なものすべてが不足していました。また、避難してきたロヒンギャ難民の約6割を18歳以下の子どもが占めていたこと、高齢者や妊産婦の女性への支援が不足している状況が確認されました。

シャプラニールでは、現地で活動する各団体とパートナーシップを組み、2017年10月より難民キャンプでの支援活動を開始しました。2017年10月にはバルカリ難民キャンプで食料配布支援を実施、同年11月中旬にはクトゥパロン難民キャンプでの食料・生活物資配布支援を実施しました。そしてこの度、バルカリ難民キャンプ(旧モイナールゴナ難民キャンプ)で予定していた毛布の配布支援が完了しましたので、ご報告します。

対象地域は地形上気温が下がりやすく、寒さによる感染症のリスクが高まることが懸念されます。今回はバングラデシュの現地NGO、YPSA(イプシャ、Young Power in Social Action)と協働し、特に脆弱性の高い高齢者、妊産婦がいる1,636世帯(約10,000人)を対象に防寒用の毛布を配布しました。

<バルカリ難民キャンプでの冬用毛布配布支援>

対象地域:コックスバザール県ウキア郡バルカリ難民キャンプ(旧モイナールゴナ難民キャンプ)

対象者:高齢者・妊産婦のいる1,636世帯(約10,000人)

配布物資:冬用毛布

活動パートナー団体:YPSA(イプシャ、Young Power in Social Action)
1985年に設立されたバングラデシュのチッタゴンを拠点とするNGO。多様な社会的課題の解決を目指し活動している団体で、シャプラニールと協働して2010年から2015年の5年間、チッタゴンで家事使用人として働く少女への支援事業を行っていました。YPSAは難民の大量流入が始まった後、いち早く現地に駆けつけ、ロヒンギャ難民支援を開始しており、現場にも精通しています。

シャプラニールによるこれまでのロヒンギャ難民支援活動

support1_jummanet・バルカリ難民キャンプでの食料配布支援
(2017年10月15日完了)
※パートナー団体:ジュマ・ネット
>>支援報告はこちら
 

support2_NAF・クトゥパロン難民キャンプでの食料・生活物資配布支援
(2017年11月中旬完了)
※パートナー団体:
ARF(Asian Resource Foundation)
NAF(Namijan Aftabi Foundation)
>>支援報告はこちら

ロヒンギャ難民の人々は、家族を殺されたり自身も生命を脅かされるような経験をしています。難民キャンプで活動する現地スタッフは、このようなトラウマを抱えた人たちと直接関わる重要な役割を担っていますが、緊急救援の現場では支援する側への研修の機会はほとんどありません。支援に関わるスタッフへの研修など今後の支援の可能性も含め、ロヒンギャ難民や支援の最新状況把握のため、2018年3月7日から10日までの間、藤﨑事務局次長をコックスバザールに派遣しました。詳細は決まり次第、お知らせ致します。


2017年11月23日、ミャンマー、バングラデシュの両政府はロヒンギャ難民のミャンマー帰還に向けた合意書に署名しました。しかしながら、具体的な帰還終了の時期は定まっておらず、ロヒンギャ難民問題は長期化することが予想され、国際社会による継続的な支援が必要とされています。シャプラニールでは、皆様のご支援のおかげで目標としていた300万円を越える寄付を集めることが出来ました。誠にありがとうございます。現場のニーズ把握や今後の活動計画を作るためにも資金が必要です。どうか更なるご支援をお願いいたします。

引き続き、皆様からのロヒンギャ難民緊急救援募金および情報シェアのご協力をお願いします。

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