ネパールのパートナー団体、CWIN (シーウィン、Child Workers in Nepal Concerned Center)より、COVID-19の感染拡大に伴い、大きく生活に影響を受けている世帯への物資配布の緊急支援が無事に終了したとの連絡がありました。

CWINのチャイルド・ヘルプ・ライン事業(虐待や暴力などの被害を受けた子どもたちからのSOSを受ける無料の電話相談窓口)では、COVID-19により家計に深刻な影響を受けた世帯から助けを求める電話を受け、同事業を行っている6つの地域で物資配布等の支援を行いました。電話をかけてきた家庭の多くは、日雇い労働で家計を支えられていたものの、ネパール政府が行ったロックダウンの影響を受けて仕事を失ってしまい、日々の食事にも困っている状態でした。

今回は3種類の支援を行いました。配布時はマスクを着用し人同士の距離をとるなど、ウイルス感染防止の対策を講じて行われました。

(1)食糧配布支援 米、油、砂糖、レンズ豆、塩をセットにして各家庭に配布しました。当初はスパイスやビスケット、石けんなども一緒に配布することを検討しましたが、ロックダウンが長引いている状況を鑑み、より長い間、基本的な食糧を確保できるようにすることを優先させ、先述の5品目に絞り、量を多くして配布しました。

(2)妊産婦への栄養価の高い食料支援 離乳食、ギー(牛や水牛の乳から作るバターのようなもの)、牛乳、卵などを27人の妊産婦に配布しました。

栄養価の高い食料品の配布を受けとる産婦

(3)医療支援 医療費の支援と食糧支援を、必要に応じ11世帯に対して行いました。


この緊急救援は、2020年5月22日~8月21日の期間に実施され、COVID-19の感染拡大の状況下で、脆弱な状態にある子どもたち501名(女性228名、男性273名)とその家族に物資を届けました。

その支援を受け取った、ビピン君(仮名)のエピソードを紹介します。 ビピン君(2歳6カ月)は2020年7月に、血液のがんと診断され、これまでに8回にわたる化学療法を受けています。1回の化学療法には、15,000~20,000ネパールルピー(約13,500円~18,000円)かかりますが、両親は農業で十分な収入がなく、やりくりに困っていました。さらにCOVID-19が追い打ちをかけ、家庭の経済状況はさらに悪化しました。父親は地方行政に支援の申請書を提出しましたが、いかなる支援もまだ得られていないとのことでした。チャイルド・ヘルプ・ラインのスタッフは状況を鑑み、医療費の請求書をもとに約6,000ネパールルピー(約5,400円)の支援と栄養価の高い食料を提供しました。父親は親戚からお金を借りるなどして今後の医療費と生活費を工面する予定とのことです。

ネパールでは現在ロックダウンが解除され、経済活動も徐々に再開し始めているため、今回のような食糧配布の対象となった人々の生活状況も少しずつ改善していくことが見込まれます。また今回の食糧配布を行った地域は、以前よりシャプラニールとCWINが協力して活動を行っているため、今後も定期的なフォローアップを行っていきます。


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