世界的コミュニティラジオのネットワーク、AMARC(World Association of Community Radio Broadcasters Asia-Pacific / 世界コミュニティラジオ放送連盟アジア太平洋地域事務局)から、COVID-19に関する正しい知識を広めるラジオ放送キャンペーンの報告が届きました。シャプラニールでは本キャンペーンを通じて、バングラデシュ・ネパールの15局に対して資金援助を行いました。
開発途上国の農村部・半農村部の多くでは、ラジオは馴染みのある言葉で正しい情報を得るための数少ないメディアの一つです。ラジオ局のネットワークであるAMARC Asia-Pacificは、情報が届きにくい地域に住む人々、その中でも特に社会的経済的に弱い立場の人々に対して、COVID-19の基礎情報や感染防止のためにすべきことなどの正しい知識を伝えるための大規模な啓発キャンペーンをアジア地域16カ国・69局のコミュニティラジオが共同で行いました。シャプラニールはバングラデシュ・ネパールの15局に対して資金援助を行っています。
画像右:ラジオを聴く男性(写真提供:CR Gurbaba, Bardiya, Nepal )
キャンペーンでは、感染症の基礎情報や感染防止に関する知識を伝える放送用の番組台本を制作し、連携する各コミュニティラジオが独自の言葉で放送をしました。使用された情報は複数の機関によって検証された信頼のおけるものです。医学的な情報だけでなく、感染した人への差別の禁止を呼びかける内容のメッセージなども制作されました。 キャンペーンは4月22日から始まり、台本を使った放送は、現在も継続して放送されています。
ここで、AMARC Asia-Pacificより、ラジオリスナーと放送局スタッフの声をご紹介します。
ラジオリスナーの声
「新型コロナウイルス感染症から身を守るために何をすればいいのかよく分かりました。フィジカルディスタンスという言葉の意味や、手洗い・マスクをつけることの重要性もはっきりと理解することができました。ラジオは私にとって唯一の情報源なので、ラジオでこのような情報を聞くことができて良かったです。」
放送局スタッフの声
「AMARCが作成したラジオ広告(番組の合間に流される、数十秒の公共広告)の台本はとても効果があって、私たちの番組には好意的な反応や感謝の言葉が届いています。私たちは現在も広告を1日に20回ほど放送しています。これほどまでに効果のある広告を作ってくれたことにとても感謝しています。」
(左)ネパールの放送局にて(写真提供:CR Sindhu, Chautara, Nepal)
(右)バングラデシュの放送局にて(写真提供:CR Nalta, Bangladesh)
医療体制の乏しい農村部でCOVID-19に感染した場合、医療体制が早期に限界を迎えることが予想されます。また正確な情報が普及していない地域では事実無根の噂が飛び交い、感染拡大や差別を引き起こす原因となる恐れもあります。コミュニティラジオ局によるこのような取り組みは、世界中で感染拡大が続く中、農村部・半農村部の人々の暮らしを守るために重要な役割を果たしているといえます。
この度は皆さまからの温かいご寄付(緊急救援募金)をいただきましたこと、誠にありがとうございました。シャプラニールの本キャンペーンへの支援はご報告を持ちまして終了しますが、AMARCのコミュニティラジオを通した啓発活動はこれからも継続していく予定です。