2016年7月上旬から8月にかけてバングラデシュ北部・南部、ネパール、インド東北部の地域にモンスーンによる大雨が続き、大規模な洪水が発生しました。シャプラニールでは、洪水発生直後から情報収集を始め、バングラデシュとネパールで緊急救援活動を実施しました。
■現地の被害状況
バングラデシュの北部では50万世帯が被災し、260万人が家屋流出、浸水などの被害を受けました。シャプラニールが「家事使用人の少女たちに素敵な未来をキャンペーン」で少女たちを家事使用人として送り出さないよう啓発ラジオ番組を放送しているクリグラム県チルマリ郡では、住民の75%にあたる9万5千人が被災し、家や家財が流されたり、浸水した家屋での生活を強いられました。飲料水や食料の確保が難しく、衛生面の悪化が見られているにも関わらず必要な支援が届いていない状況でした。
ネパールにおいても、「洪水に強い地域づくりプロジェクト」活動地である南部のチトワン郡で洪水が発生しました。鉄砲水によって家屋や田畑が土砂で覆われる被害が出ており、人々の生活は大変厳しい状況になりました。
■救援活動内容
【バングラデシュ】
8月20日(土)にダッカ事務所スタッフが洪水被災地域のクリグラム県チルマリ郡に到着。21日から23日まで、現地NGOであるRDRSスタッフと共に6つの地域を周り、家屋損壊の貧困世帯や障害者、寡婦、妊婦や乳幼児のいる世帯など2,000世帯に、各戸1週間分の食料を配布しました。配布の際には、洪水被災を理由に少女たちを家事使用人として働きに出さないよう住民たちに呼びかけを行い、従来からラジオ放送している啓発番組でも同様のメッセージを発信しました。
1.支援地域: バングラデシュ北西部 クリグラム県チルマリ郡
2.活動内容:
(1)食料配布…2,000世帯(家屋損壊の貧困世帯、障害者、寡婦、妊婦や乳幼児のいる世帯など)へ
各戸1週間分の食料(約1,500円分)を配布。
(2)啓発番組放送…ラジオ番組で「洪水での被災を理由に少女を家事使用人として送り出さない」よう訴える
メッセージを発信。
3.実施方法: 現地NGO・RDRS Bangladeshと協働して実施。
【ネパール】
8月23日(火)にカトマンズ事務所スタッフがチトワン郡マディ地域を訪問。再度の大雨で河川氾濫し、集落へ土砂が流入するのを防ぐために作られた盛り土を確認しました。住民自身も堤防の土をならす作業と植林を行い、簡易堤防が完成していました。洪水対策だけでなく住民の生活向上も兼ねて、実のなる植物であるバナナの植林を行う工夫もされていました。マディ市とシャプラニールおよび現地NGO・RRN、警察や軍、そして住民が連携した対策が取られていることがわかりました。
1.支援地域: ネパール南部 チトワン郡マディ市
2.活動内容: 盛土により簡易堤防を建設し、河川氾濫の拡大を防止。
3.実施方法: 現地NGO・RRN(Rural Reconstruction Nepal)と協働して実施。