益城町入り

4月14日夜の前震から始まった熊本地震における被災者支援のため、一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンターの活動に合流し熊本市益城町に入っています。

26日から熊本入りし、現在益城町の「グランメッセ熊本」という施設において、益城町役場や熊本県からの応援職員の方をサポートする形で、車中泊をしている方々のための生活物資の配布を行うチームにいます。

地震の状況

ここ益城町では14日夜の前震、そして16日未明の本震により、多くの家屋が倒壊また立ち入ることのできない状態になっています。自宅が傾いていたり、毎日体に感じる余震が続くこの地域では、安心して夜自宅で寝ることができません。広い駐車場で物が倒れてくる危険のない場所に車中泊を選択する人が多いのはこのためです。

初日にこの物資配布のテントで生活に必要なものを配布しながら、特にお母さんへ現在の困りごとについて聞いたところ、子供たちにかなりのストレスがかかっていること、余震への恐怖がさまざまな形で出てきていることが分かりました。

中には間もなく出産という女性がおり、軽自動車での車中泊で脚のむくみや体調に不安を抱えていました。「生まれてくる赤ちゃんの出産準備が全くできない」と涙を浮かべて話をされていました。

また、小学生のお子さんが、仮設トイレの使用を嫌がっておむつを利用していることも複数のお母さんから聞いています。こうした状況を聞いて、まずは少しの間だけでもお母さんと子供たちリラックスして過ごせるように、「青空文庫」と「カフェスペース」の設置を企画、益城町役場や施設の許可をいただき、車中泊の方々の利用が増えてきました。

いわきでの交流スペース「ぶらっと」の経験から、見ず知らずの人たちが同じ時間を共有し話をすることによって、情報交換やお互いの立場を理解できるということを実感し、避難所ではなく、流動的な車中泊の方々が日中に会話を交わせる場所の存在は大きなものになるだろうと思っていました。

青空文庫

ピースボートのグランメッセチームも共通の考えだったこともあり、数日続いた雨の後に寄付でいただいた絵本や雑誌、少しの遊具を集めて、木陰でくつろげる「青空文庫」が始まりました。机といすを屋外に設置しただけで、そこはなんだか居心地の良いカフェスペースになり、さっそく親子、おばあちゃんが集まり、あっという間に満席になりました。誰からともなく自宅の状況の共有や現在の生活などの話が始まりました。

木陰でのんびり過ごすことのできる「青空文庫」

木陰でのんびり過ごすことのできる「青空文庫」

物資配布

また、物資配布テントのとなりに12畳ほどのスペースがあり、各電話会社の無料充電器が設置されている他は物資で入ってきた古着やおもちゃ、本が積まれたままの状態でした。役場職員さんとも少しずつ話をしながら、町役場や県職員のみなさんに多大なご協力をいただき、こちらもゆっくり座ってくつろげる場所になってきています。

物資配布テントの様子

物資配布テントの様子

日中はカウントの難しい車の出入りですが、夜は現在も約300台が車中泊をしています。台数は少しずつ減ってきていますが、まだまだ支援が必要なこの地区での支援活動について、できるだけアップデートしたいと思います。

※29日から熊本入りしている海外活動グループ勝井は、同じ益城町の小学校における避難所運営チームに入って活動しています。

佐藤緑