先遣隊4日目の活動は、また二手に分かれて行いました。小松事務局長からのレポートです。
▼ 再び「おすそ分けサロン」へ
前日に調達した土のう袋をサロンへ運び入れた後、半日お手伝いをしました。日曜日ということもあって、たくさんの人たちが親子連れでやってきます。そんな家族連れの中で、一人の男の子が何か食べながらサロンにやってきました。「何食べてるの?」ときくと「焼いも」と答え、私が何気なく「おいしそうだね」と言うと、すぐに「半分食べる?」と言って食べていた焼いもを半分にして差し出します。私は慌てて「今朝一杯ご飯食べてきたから大丈夫」と言いました。近くで避難所にもなっている小学校に通っている6年生で、今週の水曜日から学校が再開すると話してくれました。「学校始まるの、楽しみ?」ときくとしばし考えた後、「半分。」と答えます。「残りの半分は?」「早起きするのが嫌だから」思わず笑ってしまいました。するとまた、「食べなくて大丈夫?」と焼いもを差し出します。みんな大変な状況だということがわかって気遣ってくれる、優しい少年の心に触れた一瞬でした。
この日は目の前の駐車場でサロンを運営しているクルーズプランニングの社員のみなさんがカレーライスの炊き出しを行っており、「おいしい!」という声があちこちから聞こえてきました。サロンでは調理済みのご飯やレトルト食品などを配布しており大人気ですが、水がないためどうしてもこうした「温めるだけ」あるいは「そのまま」食べられるものが食事の中心になってしまいます。そんな中、手作りの温かいカレーライスを食べて出た「おいしい」という一言には、被災して1週間が過ぎたことの重みと困難さ、そしてみなさんのたくましさがこもっているように聞こえました。
(写真:炊き出しの様子。「いろんなカレールー、プルコギなんかも入ってるんだよ」)
様々な事業を展開するクルーズプランニングの事務所と倉庫、介護福祉施設の3カ所が平窪地区にあり浸水被害に遭いました。事業をいったんストップせざるを得ない状況の中、社員のみなさんが、地域のためにと献身的にサロンの運営や炊き出しを行っています。発災直後には水を持ってこの地域をくまなく回り、取り残されている人たちがいないかどうか、確認作業も行ったとのこと。一人暮らしのお年寄りなど支援の必要な人たちは避難所や家族・親戚の家などに移っているようだ、とのこと。地域包括支援センターの職員も戸別訪問をしているそうです。取締役の石川さんに「いつくらいまで続けるか見込みはありますか」ときくと「事業がいつ再開できるかにもよりますが、少なくとも今月いっぱいは続くんじゃないでしょうか。様子を見ながら、ですね」と答えてくれました。最も被害の大きかった地域で、ほっとできる拠点になりつつある「おすそ分けサロン」、これからも応援したいと思います。
(写真:取締役の石川さんと)
▼ 木田さんと再会
東日本大震災発生直後から毎年行っている「いわきツアー」でいつもお世話になっている、いわきオリーブ・プロジェクトの中心メンバー木田さんのお宅や畑も被災しているときいて、心配していたのですが、この日やっと再会することができました。
平窪にある木田さんのお宅は床上浸水、夏井川の川辺にあったオリーブ畑のオリーブは根こそぎ倒れてしまいました。オリーブの苗木を育てていたハウスも、隣の重油タンクが倒れたため油まみれになってしまったとのこと。「どうしていいかわかんない」という木田さんの一言には辛さ、苦しさ、混乱・・・様々な感情が凝縮されていて、私はそれ以上かける言葉がありませんでした。
何よりも水が出ないため、泥出しなど片付けもなかなか進まず、一日作業が終わると風呂をもらいにどこかへ行かなければならない、料理も思うようにできない・・・と説明してくれた木田さんの話をきいて、復旧作業の前にまず生活自体が厳しいのだということを改めて感じました。
今回はとりあえず飲料水を置いてくることしかできませんでしたが、これから何か手伝えることがないか、考えたています。(事務局長小松)