先日、同僚のスタッフと一緒に映画の試写会に行きました。事務所に案内が来ていた『未来を写した子どもたち』という映画です。内容は、ニューヨークの写真家がインドのカルカッタの売春窟に暮らす子どもたちに写真を教える中で起きる様々な出来事、浮かび上がってくる子どもたちの置かれている厳しい状況と素顔を追ったドキュメンタリー。もともと映画好きの私ですが、プライベートな時間は非日常の世界に浸って楽しむほうが好きなので、ドキュメンタリー的なものを積極的に観ることは稀です。
でも、今回行こう!と思ったのは、映画の内容が2004年度にシャプラで行ったわくわく交流企画『子どもの瞳に映る世界』と重なったから。その企画は、バングラデシュ(ストリートチルドレン、農村で暮らす少女)、ネパール(ストリートチルドレン、学校に通う子ども)、日本の子どもたちにカメラの使い方を教えた後、1日インスタントカメラを預けて暮らしの1場面を撮って、そのうちお気に入りの一枚を選んでもらい、写真展を行うというもの。写真展は、東京・表参道、バングラデシュ・ダッカと農村、ネパール・カトマンズで、3カ国の子どもたちの写真を全て展示する形で行いました。
バングラデシュの写真展では、その写真を見る子どもたちの楽しそうな表情もさることながら、写真展を開催する大人の姿がとっても印象的でした。バングラデシュで見せてもらう写真は家族写真が中心で、写真展自体がおそらく珍しいのでしょう、最初、写真展のイメージ、意味がよくわかっていないようでした。でも、東京での写真展の様子の写真を見せ、写真は子どもの心を映し出しているはずだから、と言った瞬間、ダッカでストリートチルドレン支援をしている現地スタッフが急に「合点!」したんです。普段彼らが子どもたちと対話して、心に寄り添う活動と同じと理解したんですね。
農村ではもっと珍しい写真展。開催前日に東京の写真展の写真を見せてやっと写真展なるものが理解できたらしく、これから会場を作る!と言うではないですか!何をするんだろう?と思っていたら、竹(=柱)と長ーい布(=壁)が用意され、事務所前の庭に即席の青空展示場が数時間で出来上がり。広報はと言えば、スタッフ数名が村の中を声をかけてまわる口コミ。晴天の写真展当日、写真を通じて改めて、自分たちの暮らし、風景の美しさを発見しているおばあちゃんの顔が忘れられません。
長くなりましたが、写真、写真展を通じて、写真を撮った子どもたちが様々な発見をするのはもちろん、それを取り巻く大人たちにも変化が起こるわけです。『未来を写した子どもたち』の主人公は、もちろん写真を撮った子どもです。でも、私が印象に残ったのは、彼らを取り巻く大人たちの、今ある環境の中でもがいたりあきらめたり必死に生きている姿。
『未来を写した子どもたち』は11月22日からシネスイッチ銀座で公開された後、全国で順次ロードショーされます。よかったら皆さんも観に行ってみて下さい。
詳しくはコチラ⇒ 公式サイト www.mirai-kodomo.net/
勝井裕美